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【社会】

新選組も愛した刀 足利へ 室町〜江戸時代の18点 市民が寄贈

寄贈された刀を前に解説する田部井勇さん(右)。手前から「環」「長船与三左衛門尉祐定」「大和守安定」=栃木県足利市で

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 著名な刀工が制作した貴重な日本刀十八点が、所蔵する市民から栃木県足利市に寄贈された。専門家によると、鑑定評価額の合計は約三千万円という。幕末の新選組隊士の沖田総司が使った「大和守安定(やまとのかみやすさだ)」、土方歳三の愛刀「和泉守兼定(いずみのかみかねさだ)」と同銘の刀なども含まれており、歴史ファンの注目を集めそうだ。

 市は地域を挙げて歴史や文化の伝承に力を入れており、さびや傷みを補修した後に一般公開するなどの活用法を検討する。

 寄贈されたのは、室町時代から江戸時代末期ごろまでの日本刀十八本と、蒔絵(まきえ)が施された「拵(こしらえ)」(太刀の付属品の総称)一点。安土桃山時代の刀工・堀川国広(一五三一〜一六一四年)が一時期、同市の足利学校近くに滞在したことなどが縁となり、寄贈につながった。

 市内に在住する寄贈者は匿名を強く希望しており、所蔵した経緯などは明らかにしていない。「刀剣文化の発展、観光振興に役立ててほしい」と昨秋、市へ寄贈を申し出たという。

 江戸時代後期に活躍した刀工、源清麿(きよまろ)(一八一三〜五四年)の脇差し「環(たまき)」(刃長四十センチ)は青年期の傑作で、栃木県の文化財に指定されている。隠れた柄(つか)の部分に、清麿の本名の山浦環から一字取った銘を刻んだ現存する唯一の刀という。

 鑑定した日本美術刀剣保存全国連合会の元理事で公認鑑定者の田部井勇さん(84)は「乱れ刃の刃文が非常に美しい」と高く評価。「新選組の近藤勇局長の愛刀は『虎徹(こてつ)』とされているが、実は清麿の刀だったという説がある」と話す。

 一番隊長、沖田総司の愛刀と同銘の「大和守安定」は刃長八十三センチの長尺。江戸中期の作で、田部井さんは「非常に長いため、剣豪しか扱えない特注品。安定の最高傑作」とみる。

 その他、沖田が池田屋事件の際に帯刀したとされる「清光(きよみつ)」(刃長七十センチ)や、「鬼の副長」と恐れられた土方歳三の愛刀と同銘の「和泉守兼定」(同)、戦国時代に活躍した名工「長船与三左衛門尉祐定(おさふねよそうざえもんのじょうすけさだ)」(同)などもある。 (梅村武史)

 

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