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【社会】

不自由展で物議 燃える天皇肖像  ベルギーの映画祭で上映へ

昭和天皇の肖像が用いられた映像作品で引用された「遠近を抱えた女」のシーン=ハイクロスシネマトグラフィ提供

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 昨年開かれた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」に昭和天皇の肖像を用いる作品群を出品した、美術家で映画監督の大浦信行さん(71)の映画「遠近を抱えた女」が、二月九日にベルギーで始まる「ブリュッセル独立映画祭」でオープニング上映されることが決まった。国内で配給先が見つからなかった映画で、関係者は「ようやく、作品本来の表現力や芸術性が評価された」と歓迎する。 (中村真暁)

◆国内で配給先なし 「芸術性評価された」

 「遠近を抱えた女」は二〇一八年に製作された。舞台女優のあべあゆみさんがタトゥーを入れたり、稽古をしたりする実録映像に、売春場面などのフィクションも織り交ぜながら、人間の本質に迫る作品だ。

 昭和天皇の肖像などをコラージュした版画が燃やされるシーンを含んでいたことで、各地の映画館から「クレーム対応ができない」などと上映を断られ、国内で上映されたのは山形県での映画祭だけだった。

 トリエンナーレで一時中止された「表現の不自由展・その後」には、この映画から版画を燃やすシーンなどを引用した映像作品「遠近を抱えて PartII」(二十分)が出品されていた。

 ホームページなどによると、ブリュッセル独立映画祭は一九七四年に始まり、二〇一二年に一度終了するも、その後に復活した。大手映画会社ではなく、独立系資本で製作された世界各地のドラマやドキュメンタリーなど多様なジャンルを扱う。昨年は二千本以上の応募のうち、八十一本が上映された。

 大浦さんは、昭和天皇の肖像を含む版画が燃えるシーンは「昭和天皇批判ではない」と説明した上で、国内で忌避されたことに「令和になっても日本人の中に明治政府につくられたイメージからくるタブーが根強く残っていると改めて感じた」と話す。

 その作品が海外で上映されることになり「純粋な作品として評価され、うれしい」と喜んだ。

 撮影・プロデューサーの辻智彦さん(49)は「日本では、『反日的』『受け狙い』などとスキャンダル的に扱われたが、考え抜かれた表現作品。意味があるものを作っている作家だと知ってほしいし、トリエンナーレへの捉え方も変わる」と話す。

「遠近を抱えた女」を上映した映画祭で話す大浦信行さんと辻智彦さん(右)=山形市で(辻さん提供)

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