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【社会】

<子どものあした>都の夜間保育事業、足踏み 活用は認証施設1カ所

夜ご飯を食べる子どもたち。泊まる子はこのあと入浴し、就寝する=東京都新宿区のエイビイシイ保育園で

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 夜間や休日に子どもを預かってほしい家庭を支えようと、東京都が本年度始めた認証保育所への補助事業が、想定した七カ所のうち一カ所にとどまっている。手を挙げたのは既に二十四時間保育に取り組む保育所で、補助事業を機に新たに始める保育所はゼロ。保育士不足の中、人材確保が難しいことが主な原因とみられる。 (石原真樹)

 認証保育所は、国基準の認可保育所と別に、都が独自に基準を定めて補助をしている保育所。都は「夜間帯保育事業」として、午後十時〜翌日午前七時の夜間帯や日曜・祝日に子どもを受け入れる認証保育所に、寝かしつけグッズなど備品の費用と、人件費割り増し分の補助を予算化。本年度は七カ所で計約七十人の子どもの受け入れを想定して、六千三百万円を計上した。

 二〇一八年度から周知を行い、昨年十月に区市町村を通じて募集を開始。ところが都内に認証保育所は五百七十四カ所あるのに、二十四日までに応募しているのは、二十四時間保育を実施中の一カ所だけだ。

 都によると現在、都内で二十四時間保育を行う施設は、認可保育所は新宿、世田谷区の二カ所、認証保育所は八王子、昭島市の二カ所の計四カ所。一方、認可外施設ではベビーホテルなどが百四十三カ所(一七年四月現在)あり、夜間や祝日の保育ニーズは高いとみられる。

 それでも認証保育所が都の補助事業に手を挙げないのは、保育士不足や、具体的な夜間・休日のニーズを把握できず二の足を踏んでいるためとみられる。

 認可外施設では一六年三月に大田区のベビーホテルで死亡事故が起きるなど、質の確保に課題が指摘されている。都の担当者は「夜間保育の大変さ、リスクを考えると認証保育所の事業者は後ろ向きになるのではないか。安心して預けられる二十四時間保育を提供するため、引き続き努力したい」と話す。事業は二〇年度も継続予定だ。

◆「人件費、実態把握して」

 「一カ所でも夜間保育が増えてほしいけれど、この補助だけでは無理」。新宿区で二十四時間保育を行う認可保育所「エイビイシイ保育園」の片野清美園長(69)は断言する。

 同園は午後十時〜午前七時の間、子ども約三十人に保育士四人で対応する。五分ごとに子どもの様子を確認するなど忙しく、休憩は二時間だけ。区の補助も使い、夜勤手当を手厚くして人材を集める。片野さんは「一番かかるのは人件費。都は実態を把握して制度を作ってほしい」と訴える。

 都の補助は、夜間保育帯の利用時間数によって金額が段階的に分かれる。例えば、一歳児一人の利用が月四十一〜八十時間の枠内は、割増賃金分として二万二千二百円が出る。時給にすると割り増し分は約二百八十〜五百四十円程度だ。預かる子どもの数に応じて補助額は増えるものの、逆に子どもが来なければ、補助は預かった子どもの実績払いのため支給されない。

 ある区の担当者は「区内すべての事業者に聞いたが、希望はゼロ。よほど賃金などに魅力がないと…」と実情を明かす。

 保育に詳しいジャーナリストの小林美希さんは「夜間勤務もあるサービス業や福祉、医療分野で働く親が増え、朝から夕方が基本の保育所とミスマッチが起きている」と、都の狙い自体は評価。一方で「一晩の夜勤で一万〜二万円もらえるなど手厚くすれば、夜勤を希望する保育士もいるのではないか」と、待遇向上が必要と指摘する。

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