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【社会】

舗装の下に都電レール 東京・お茶の水橋 戦中に廃止、工事で地上に

アスファルトの下から出現した都電の線路=26日、東京都千代田、文京区境のお茶の水橋で

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 アスファルトをはがしたら、線路と石畳が出現−。東京都千代田、文京区境の神田川にかかる「お茶の水橋」の補修工事現場で戦時中に廃止された都電の遺構が見つかった。ネットでも話題となり、鉄道ファンらでにぎわっている。二十九日から撤去が始まる予定で「レールは公園などで保存を」との声も出ている。 (梅野光春、小松田健一)

 工事を実施する千代田区によると、お茶の水橋は一八九一年にかけられ、一九二三年の関東大震災で焼失。三一年に今の橋が完成した。都交通局の資料によると、〇四年に橋を渡る路線が開通し、太平洋戦争で戦況が悪化した四四年まで運行されたらしい。

 その後、線路はアスファルトで覆われたが、昨年十月、橋の路盤強化工事でアスファルトをはがしたところ、再び姿を現した。長さ一メートル前後のレールに製造年とみられる「1930」などの字が記されていた。今月二十日、工事範囲を広げると五十五メートルにわたりレールと敷石が出てきた。

 この部分の線路撤去と舗装は四月下旬までかかる見込み。続いて隣接部分の工事に入るが、そこにも複線だったもう片方の線路が埋まっているとみられる。

 これらは貴重な遺構だとして、鉄道ファンで弁護士の山内貴博さん(50)=杉並区=と、会社員安井憲郎さん(47)=川崎市麻生区=らは昨年十一月「お茶の水橋都電レール保存会」を結成。「戦前の都電車両がある文京区の公園にレールを移し、保存すべきだ」とネットを通じて呼び掛ける。安井さんは「工事前もアスファルトからところどころレールが露出し、線路が埋まっているとファンには知られていた。でも石畳までこんなにきれいに残っているとは」と驚く。

 撮影に訪れた新宿区の写真家田中敏夫さん(52)は「せっかく出てきた線路。一度は路面電車を載せてあげたいね」と話す。友人と通り掛かった杉並区の会社員千野隆之さん(37)は「鉄道ファンではないが、戦前の線路が出てくるなんておもしろい」と驚いていた。千代田区の担当者は「方針は固まっていないが、できる範囲で保存会の活動に協力したい」と話している。

◆「土地の記憶」後世に

<鉄道ライターで都市交通史研究家の枝久保達也さんの話> 戦時中に廃止された都電のレールなどの資材は、軍需工場への通勤用といった需要が高い他の路線に転用された。路上に残ったのは非常に珍しく、どのような経緯だったのか興味深い。撤去はやむを得ないが、現地に説明用パネルを設置するなどして、土地の記憶を後世に伝えてほしいと思う。

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