東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 1月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

五つ子減数手術「過失なし」 大阪地裁判決 流産の夫婦、敗訴

 不妊治療で五つ子を妊娠したのに一人も出産できなかったのは、子宮内で胎児の数を減らす「減胎手術」のミスが原因として、大阪府内の三十代女性と夫が、府内で産婦人科医院を運営する医療法人側に約二千三百四十万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(冨上智子裁判長)は二十八日、担当だった医師の過失を否定し請求を棄却した。

 判決によると、女性は産婦人科で不妊治療を受け二〇一五年、五つ子を妊娠。同年六月、医師の勧めに応じ減胎手術を受けたが、五つ子から双子の状態にまで減らす過程で失敗し、四つ子となった。その後さらに減胎手術を行い双子が残ったが、同年九月に流産し、一人も出産できなかった。

 原告側は二度目の手術で胎児に薬剤を注入するため針を刺す際、一児につき原則一回、多くても三回以内とすべきだったのに、計二十〜三十回程度刺されたと主張した。

 しかし冨上裁判長は判決理由で「そのような医学的知見が一般的に確立していたと認めるに足りる証拠はない」と指摘。刺す回数は少ない方が望ましいとは言えても、一度目の手術で残った胎児を見極めて施術する必要があり、通常より難易度が上がっていたとし「医師に過失があったとはいえない」と判断した。

 原告側は担当医にも賠償請求していたが、医師が昨年死亡したため訴えを取り下げた。

 判決後、女性は「結果は残念。時に私のような、想像を超えた多胎妊娠が起きているということを知ってほしかった。わらにもすがる思いで減胎手術を決断した」とのコメントを出した。

 原告側の中村智広弁護士は大阪市内で記者会見し「医学的知見が確立していないとするのは承服し難い。減胎手術を巡る基準がない現状に対する提言すらなかった」と判決を批判した。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報