東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 1月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

髪の悩み 一人じゃないよ 「抜毛症」公表の17歳 2日に当事者交流会

美術部の仲間と談笑するウイッグをつけた坂口歩さん(手前)=金沢市の金沢二水高で

写真

 髪を失った頭に、同級生の描いた花が鮮やかに咲き誇った。金沢市の石川県立金沢二水高二年、坂口歩(あゆみ)さん(17)が自分の髪を抜いてしまう「抜毛症(ばつもうしょう)」であることを公表し、髪で悩む人たちの交流の場をつくろうとしている。「一人じゃないと伝えたい」。写真共有アプリ「インスタグラム」に、頭に花が描かれた笑顔の写真を投稿した。二月二日、金沢で初めて当事者同士の交流会を開く。 (堀井聡子)

 昨年九月、同じ美術部の同級生の前でウイッグ(かつら)を取った。「絵を描いて」。部員たちが筆で青や黄色の花を描いた。首には「WARRI(;)OR(戦士)」の文字。「自分に打ち勝つ」という意味を込めた。それまで「隠すことがつらかった」。

 無意識に髪を抜く癖に気付いたのは小学生の時。中学からひどくなり、高校で円形脱毛症も併発。髪をそりウイッグをかぶることにしたが、髪がない自分の姿を見るのはきつかった。「これからどうなるのか。もう恋もできないかもしれない。自分の手を切り落としてしまいたいと思った」

 そんな頃、髪を失った女性たちの団体「アロペシア・スタイル・プロジェクト・ジャパン(ASPJ)」(群馬県桐生市)の交流会に参加した。初めての仲間との出会いに涙が流れた。頭を隠すことなく、ボディーペインティングなどを通して自己表現している人たち。自分も。周りに打ち明けようと決めた。

 美術室で打ち明けられたとき、同級生の石丸美汐さん(17)は「驚いたけど、女性のお坊さんもいるし。変とは思わなかった」と振り返った。表(おもて)瑞希さん(17)も「髪がなくても、何も変わらない」とほほ笑んだ。

 坂口さんは「みんななら打ち明けていいと思えた。どう思われるか怖かったけど、淡々としていて逆にびっくり」。隠し事がなくなり、知ってもらえて良かったと思っている。

 投稿にはいろいろな反応があった。友達からは「すてきだね」。同じ境遇の人からは「勇気をもらった」。二月の交流会では、インスタグラムなどを通じて知り合った人たちと互いの悩みを語り合う予定だ。

 将来は美術大に進み、抜毛症のことも発信しながらおしゃれな医療用の帽子をデザインするなど、医療とアートを掛け合わせたいと考えている。「髪は私の全てを決めるものじゃない。私は私です」

<抜毛症> 自分の髪など体毛を抜いてしまう症状。抜毛癖とも呼ばれる。発症は思春期の女性に多く、ストレスが原因とされるがよく分かっていない。一般社団法人日本抜毛症改善協会によると、国内の患者数は250万〜350万人いると推測されている。

頭に絵を描いてインスタグラムに投稿した坂口歩さんの写真=本人提供

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報