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【社会】

東大サークルに「東大女子は入会不可」の露骨な性差別が残るワケ

学生らが行き交う東大の赤門=東京都文京区で

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 東大でサークルの新入生歓迎行事を取りまとめている学生団体が、学内の女子学生の入会を認めていないサークルを今春は参加させないと明らかにした。そうしたサークルの存在は長年にわたって知られながら、これまで抜本的な措置が取られてこなかった。改善への一歩とはいえ、そもそもどうして、こんな露骨な性差別が残っているのだろうか。(石井紀代美)

◆女子学生「びっくり」「恥ずかしい」

 大学を象徴する存在として知られる、本郷地区キャンパス(東京都文京区)の赤門。三十日午後に訪れると、記念撮影する外国人観光客の間をすり抜けるように、女子学生が次々に構内に入っていった。

 当事者にこの問題への受け止めを聞くと、教養学部一年田之倉芽衣さん(19)は「差別があるなんて、びっくりした。フェアじゃないですよね」とばっさり。文系四年の女子学生(22)は「差別をする人はどこにでもいると思うけど、『あの東大で?』となるじゃないですか。社会へのメッセージ性の強さを考えると良くないし、恥ずかしい」と訴えた。

◆「従順な女子集めて優位に立ちたいのでは」

 学内の女子学生を入れない東大のサークルは数十年前からあったとされる。立命館大の伊田広行非常勤講師(ジェンダー論)は「頭が良く冷静で、しっかりしている東大の女子は扱いにくいイメージがあるのではないか。そうした人間を排除する一方、『東大ブランド』に弱い従順な女子を集めて精神的に優位に立ちたいのだろう」と分析する。

◆東大新聞元編集長「差別の意識がないのかも」

 学内の動きを内外に発信している「東京大学新聞」が二〇一八年四〜五月に学内のサークルを調べたところ、回答した二十三団体中三団体が学内の女子を入会させていないと答えた。「入れない理由を聞かれても、伝統としか答えられない」「他大の女子が大勢いる中、東大女子が少数いてもなじめなさそう」「例年そうなっている」といった理由だった。

東大の女子学生がサークルに入れない問題を報じた東京大学新聞

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 記事が出た同年九月に編集長を務めていた小田泰成さん(21)=文学部三年=は「差別は恥ずべきことなのに、まさか明確に認めるサークルがあるとは思わなかった。差別の自覚がないのかもしれない」と指摘。調査を担当した武井風花さん(21)=同=も入学時にサークルの説明を受けた際、明らかに歓迎されていない雰囲気を感じたといい、「肌感覚として三団体ではとどまらない。回答を得られなかった団体も多く、これは氷山の一角」と主張する。

◆辛酸なめ子さん「男性の自信のなさの表れ」

 コラムニストの辛酸なめ子さんは伊田氏と同様の見方を示した上で、「同じぐらい賢い女子学生と互いに高め合えばいいのに、褒められ、尊敬してもらいたいのだろう。日本の男性の自信のなさがよく表れている。最近は東大にも他大学に負けない女子力を備えた子が多く、完璧に近い存在は男性に恐怖を抱かせるのでしょうね」と皮肉まじりに話す。

 東大といえば、言わずと知れた国内最難関の大学。社会的影響力も大きく、このままでいいわけがない。伊田氏は「組織の中で長年続いてきた悪習を改善するには、同調圧力に抵抗する一人一人の力が大事。違和感を持つ仲間を見つけ、徐々に変えていく努力が必要になる。理解してくれそうな先輩とじっくり話してみるのもいいだろう」と提言した。

 

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