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【社会】

辺野古、70メートル超も「軟弱」 地盤調査、防衛省伏せる

 沖縄県名護市辺野古(へのこ)の米軍新基地建設を巡り、埋め立て予定海域で防衛省の想定に反し、海面下七十メートルより深い海底の地盤が「軟弱」であることを示すデータが検出されていたことが分かった。「七十メートルまで地盤改良すれば施工可能」という同省の設計の前提は、根底から覆る可能性が出てきた。同省は「業者が独断で行った調査で信頼性が低い」としてこの実測データを採用せず、調査した事実すら伏せていた。 (中沢誠)

 海底の軟弱地盤の存在は着工後に判明し、粘土層は最深部で海面から九十メートルにまで達すると指摘された。防衛省は地盤改良の必要から設計変更の準備を進めているが、工事の助言を得る有識者会議にもこのデータを示していなかった。

 「軟弱」を示すデータが検出されたのは、軟弱地盤が九十メートルまで達していると指摘された「B27」地点。防衛省から委託された業者が現場で土を採取し、地盤強度を計測。その結果によると、七十メートルより深い地盤でも地盤強度の区分で六段階のうち二番目に軟らかい地盤に該当した。

 データは、防衛省が二〇一九年三月に国会へ提出した一連の調査結果の巻末資料として、英文で表記されていた。防衛省はデータの存在を伏せ、これまで「B27地点では強度の試験をやっていない」と国会や本紙の取材に答えていた。

 防衛省はその一方で、B27地点の地盤強度を最長七百五十メートルも離れた別地点のデータから類推し、「七十メートルより深い地盤は非常に固い」とし、七十メートルまで地盤改良すれば基地建設は可能と結論付けている。

 B27地点には巨大な護岸が設置される。真下の地盤が軟弱だった場合、護岸が沈下したり傾いたりして基地として機能しない恐れがある。防衛省はB27地点の実測データは「信頼性が低い」として採用せず、設計変更の検討に当たっても考慮に入れていない。

 防衛省の設計変更案では工期が倍の十六年、総費用は当初計画から三倍近い九千三百億円と見込む。

◆工事の根拠覆す実測値

<解説> 防衛省が基地建設を進めるのに不利なデータを伏せていた背景には、「辺野古ありき」で工事を強引に進める政府の姿勢がある。

 安倍晋三首相は昨年一月の国会で「施工実績が豊富な工法で、工事は可能」と強調した。その根拠とした地盤の強度は、最深部のB27地点とは異なる地点のデータから導いた類推値だ。今回明らかになった「軟弱」を示すデータは、B27地点の実測値であるにもかかわらず、無視された。

 B27地点では別の強度試験のデータでも、基礎地盤として望ましい強度を下回っていたことが昨年三月、本紙報道で明らかになった。防衛省はこのデータも同じように「信頼性が低い」と採用していなかった。

 一兆円近い税金を投じる世界でも例のない難工事にもかかわらず、あえてリスクを低く見積もる防衛省の対応は、工事を強行するための帳尻合わせに映る。

 七十メートルより深い地盤も「軟弱」だったとすれば、基地建設すら危ぶまれる事態だ。防衛省はいま一度立ち止まって、計画を再検討するべきだ。 (中沢誠)

◆業者が独断実施

<防衛省整備計画局のコメント> B27地点での地盤強度の試験結果は把握していたが、隠す意図はなかった。この試験は防衛省が指示したものではなく業者が独断で実施。試験方法も簡易的なやり方だったので、設計の検討には使えないと判断した。防衛省が指示していない調査データが報告されていた理由は分からない。

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