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【社会】

新型肺炎感染 クルーズ船 新たに65人 全員検査 判断揺れる

 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で起きた新型コロナウイルスの集団感染で、厚生労働省は十日、新たに検査結果が判明した百三人のうち六十五人の感染が確認されたと発表した。クルーズ船では検査した延べ四百三十九人のうち百三十五人の感染が判明し、拡大が止まらない事態になっている。中国湖北省武漢市から帰国した邦人らを合わせると、国内の検査で陽性となった感染者は百六十一人となった。

 厚労省は、船内に待機する約三千六百人の乗客乗員全員に対し、下船する際のウイルス検査の実施を検討していると明らかにした。全員検査を実施する場合、結果を待ってからの下船になるとした。加藤勝信厚労相は検討理由について「国民の不安や懸念にしっかり対応する必要がある」と述べた。一方、菅義偉官房長官は会見で、全員検査は難しいとの認識を示した。

 船内の感染者数が百三十人を超えたことについて、厚労省の幹部は「乗船者に客室待機してもらう対策を講じた後に増えているのかどうかは分からない。疫学調査や専門家の意見を踏まえて判断したい」と述べた。

 日本環境感染学会は拡大を防ぐために感染制御に詳しい医師や看護師の専門チームを十一日にクルーズ船に派遣する。

 厚労省は九日も、検査結果が判明した五十七人のうち六人の感染を確認したと発表した。うち五人は乗員で陽性の結果が出るまで業務に従事していた。

 不足する医薬品については、九日までに乗客延べ約千八百五十人分の要望があり、同日までに同約七百五十人分を船内に搬入。残りも手配を急ぐ。

◆「一般病院も受け入れ可」 厚労省転換に自治体困惑

 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客らに新型コロナウイルスの感染者が相次いでいる問題で厚生労働省が「感染症の指定医療機関でなくても、患者を受け入れて良い」と全国の都道府県などに通知していたことが十日、分かった。厚労省は「感染症法に沿った対応」と説明、個室など一定の設備がある病院を前提とするが、一般の病院での感染者受け入れにつながる突然の方針変更に、自治体は困惑している。

 厚労省の通知は九日付。感染症法は「緊急その他やむを得ない理由があるとき」は、指定医療機関以外の病院で指定感染症の患者を入院させられると定めている。感染者が増えていることから、規定に沿って通知を出したという。

 現在、感染者を受け入れている神奈川、東京、埼玉、千葉、静岡にある指定医療機関は四十九病院計三百四十五床。室内の空気や細菌が流出しないよう気圧を低くする陰圧制御や、他室とは独立させた換気設備などを備えている。

 通知を受け、関東地方のある自治体は十日、管轄病院に感染者を受け入れられるかの確認に追われた。ただ、この自治体の幹部は一般の病院で受け入れが決まったわけでないとしながら「地域がパニックになるのではないか」と不安を隠さない。 (志村彰太、井上靖史)

◆態勢整う病院あるか

<岡山大の津田敏秀教授(環境疫学)の話> 病院には体の弱っている人や高齢者がいる。一般の病院で受け入れるとき注意しないといけないのは院内感染だ。だが、例えば感染した人を受け入れるために急に一フロアを空けるなどということができる病院が、どれだけあるのだろう。

 これまで国の対応は後手後手に回ってきた。仕方のない面もあるが、これからは先を見て対応することが大事だ。中国での湖北省以外の感染者がどのように推移するか。日本での広がりを考えるうえで参考になるのではないか。

 

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