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【社会】

新型肺炎 保健所、一時検査を拒否 東日本の病院 「典型的症状」の患者

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 東日本の病院が今月上旬、重度の呼吸不全で新型コロナウイルスの感染が疑われる五十代の日本人男性を診察し、保健所にウイルス検査を求めたところ、「国の検査対象に該当しない」と一時、断られた。男性は中国湖北省への渡航歴や感染者との濃厚接触はなかった。診察した医師は「同じような患者はこれからも出るだろう。現場の医師の判断を尊重してほしい」と訴えている。 (市川千晴)

 男性は一月下旬に国内の観光地を旅行。名所やレストランなどを巡った際、外国人旅行客とも一緒になった。帰宅後に熱やせきがあり、いったんは回復したが今月に入り急変。病院に搬送された際は両方の肺に炎症がみられ、重症だった。

 治療した三十代の男性医師は「新型肺炎の感染者を分析した中国の報告書に載っていた典型的な症状」と判断。男性は入院し、病院の感染症対策チームが、細菌の院内流出を防ぐ陰圧室の集中治療室(ICU)で治療することにした。

 病院は同時に地元の保健所に「感染が疑われるので検査を受けさせてほしい」と依頼したが、「対象に該当しない」と断られた。

 国の検査対象は、三七・五度以上の発熱と呼吸器症状がある人で、発症前の二週間以内に感染者と濃厚接触しているか、湖北省に滞在している−などが基準。男性は湖北省への渡航歴はなく、感染者との濃厚接触も確認されていない。

 病院側が翌日、再び保健所に強く要請すると、検査は行われた。結果は陰性だったが、病院側は「どんな検査の精度も100%ではない」とし、新型肺炎の疑いがあるとみて男性の治療を続けている。男性は症状が安定し、現在はICUを出ている。

 中国の報告書によると、湖北省武漢市では病院で医療従事者が患者から二次感染し、院内感染から三次感染へ広がったと指摘している。男性医師は「中国のような院内感染を防ぐためにも、検査を必要とする医師の判断を尊重して対応してほしい」と訴える。

 NPO法人医療ガバナンス研究所の上(かみ)昌広理事長は「総合的に判断して、既に日本国内にウイルスが拡散され、流行が始まっている可能性がある。政府は水際対策から方針を変更し、必要とする人全てに検査・治療すべきだ」と話す。

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◆国「原因不明の場合も対象」 通知浸透せず?

 厚生労働省は今月4日、症状を訴える患者が見つかった場合にウイルス検査をする対象を拡大すると発表。渡航歴は武漢市から湖北省全体に広げ、37.5度以上の発熱と呼吸器の症状があれば、肺炎と診断されなくても検査をするなどとし、保健所のある全国の自治体に通知した。

 また、厚労省は通知で「渡航歴にかかわらず、原因不明で入院が必要な重い肺炎患者」も検査の対象にするとしている。

 厚労省結核感染症課の梅田浩史・感染症情報管理室長は「中国滞在歴などの要件に必ずしも当てはまらなくても、疑うに足りるものがあれば自治体と医師が話し合って検査をすることができる」と説明。しかし4日の通知では、対象のエリアや症状が拡大されたことが注目され、それ以外のケースも検査できるということが浸透していない可能性がある。

 さらに、検査の判断が医師や自治体に委ねられているため、検査の実施がケース・バイ・ケースになることも。現在、保健所の多くは感染に関する電話相談などもしている。保健所のマンパワー次第で検査の対応が分かれる事情もあるようだ。 (井上靖史)

 

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