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【社会】

マスク効果 過信はダメ 空気中に漂う微粒子でも感染?

ラグビートップリーグのスタンドでもマスク姿のファンが目立つが…=名古屋市で

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 「新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)」がますます猛威を振るっている。政府は感染者と濃厚に接触した時にしか感染しないと説明しているが、中国の複数メディアは、より広範囲の人が感染しかねないエアロゾル感染の可能性を指摘している。多くの人が自衛策としてマスクをしているが、識者からは「過信は禁物」という声が出ている。(大野孝志)

◆「エアロゾル感染」の可能性

 「日本国内にどれだけの感染者がいるか分からないが、インフルエンザなどの他の感染症のデータから類推すると、エアロゾル感染を否定する証拠がない」と高橋和郎・国際医療福祉大教授(臨床検査医学)は語る。高橋氏は元大阪府立公衆衛生研究所副所長で、二〇〇九年に集団感染が起きた新型インフルエンザに対応した。

 高橋氏が指摘するエアロゾル感染とは、空気中に漂う微粒子を人が吸い込むことで起きる。

 日本エアロゾル学会のサイトでは、エアロゾルを「気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子」と定義。具体的には、粉じんやミスト、スモッグ、霧などがこれに当たる。粒子の大きさは分子やイオンとほぼ同じ〇・〇〇一マイクロメートル(一マイクロメートルは千分の一ミリ)から花粉のような一〇〇マイクロメートルまで。厚生労働省のガイドラインでは五マイクロメートル以下だ。

 ウイルスが空気中を漂い、離れた所にいる人が吸い込む「空気感染」ほどではないが、エアロゾル感染も数メートルの範囲の人がウイルスにさらされかねない。

◆厚労省「飛沫と接触で感染」

 一方、厚労省は「現時点では、飛沫と接触感染の二つが考えられる」との見方を崩していない。飛沫感染はせきやくしゃみでウイルスを含むしぶきが飛び散り、粘膜に触れて感染すること。接触感染は皮膚と粘膜の直接的な接触や、ドアノブやスイッチなどを介した間接的な接触でうつる。

 飛沫と接触は、患者にかなり接近しない限り感染しない。だが、潜伏期の人からの感染も指摘されていることから、高橋氏は厚労省の見方に疑問を持つ。

 「発症していないということは、せきやくしゃみがなく、しぶきが出ない。それなのに感染している。飛沫ではなく、接触かエアロゾルしかない」

◆防御効果は限定的 感染者には効果大

 さまざまな感染経路が指摘される中、多くの人が自衛策に使っているのがマスクだ。効果はどうなのか。

 「感染していない人が防御の意味でマスクをしても、どの程度防げるだろうか」。川崎市健康安全研究所の三崎貴子・企画調整担当部長は品薄になるほどのマスク騒ぎに首をひねる。普通のマスクは目が粗く、顔との間にすき間ができる。ウイルスを遮断する効果は限定的だという。

 「空気感染を防ぐために医療機関で使うマスクでも、顔にぴったりフィットさせなければ意味がない。装着すると息苦しくていられない。せきをしている人と面と向かわないのがいちばん。人は自分の顔を触ることが多いので、しっかり手洗いすることが肝心。マスクの過信は禁物だ」

 逆に感染者がマスクをする効果は大きい。三崎氏は「通常のコロナウイルスなら飛沫か接触感染。感染者がマスクをすればかなり防げる」と説明する。それでも空気やエアロゾル感染の場合は、粒子が細かく、マスクでは防げない。

◆識者「医療用なら予防できる」

 一方、高橋氏は満員電車のような人と人との距離が近い場所では「サージカルマスク」と呼ばれる医療関係者が使うマスクなら感染拡大の防止、予防ともに有効であると説く。それが信頼性ある研究で証明されているという。

 高橋氏は「花粉対策のマスクは目が粗いが、市販でも医療用と同等の性能の物がある。自分のマスクの性能を確認することが大切。予防策としても完全ではないが有効。品薄で入手できない時は、アルコールで消毒してマスクを再び使う手もある」と語った。

 

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