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【社会】

共通テスト 作成者が例題集出版 利益相反疑い、辞任

 来年から実施される「大学入学共通テスト」の国語の問題作成にかかわった複数の委員が昨年八月、導入予定だった国語記述式問題の例題集を出版し、利益相反の疑いを持たれるなどと指摘され、委員を辞任したことが関係者への取材で分かった。文部科学省はテストを運営する大学入試センターに経緯を聞いている。 (柏崎智子)

 例題集は、東京の大手教科書会社から税別二千円で出版された。「教師や生徒、保護者等の疑問や不安に応える」との触れ込みで、十の問題例と解説が掲載されている。記述式問題の導入には教育関係者らの反対が強かったが、例題集は、最初の章で意義を説明し、後半には国語の授業改善のポイントを載せるなど推進する内容だった。

 関係者によると、執筆者の大学や高校の教員ら八人の中に、センターが任命した国語問題作成分科会の委員が複数含まれていた。出版後、利益相反や情報漏えいの疑念を抱かせると内部で問題になったという。

 センターの担当者は取材に対し、例題集の執筆者に委員がいるかは答えなかったが、昨年十月に国語で複数の委員が同時に辞任を申し出て今年一月に受理されたことを明らかにした。委員の間では疑念を抱かれないよう在任中は入試に関する出版や講演をしないことが慣行として守られてきたといい、担当者は「一般論として委員が例題集を出版するのは良くない」と話した。

 共通テストの問題は、全国の大学などから選ばれた大学教授らが分科会の委員になり、二年かけて作成。公正さが厳密に要求され、かかわったテストが実施された年度末まで自分が委員だとは口外できず、職務上知り得た秘密を守ることも規定されている。

 教科書会社の広報担当者によると、出版は会社側から執筆者代表の大学教授へ「この分野に詳しく適任」として依頼。受験生のテスト対策用というより、高校教員らが指導の参考手引として手に取ることを想定したという。「だれが委員か当時も今も知らない。教授からは執筆に不都合がある話はなかった」と話す。

 記述式問題は来年の共通テストに導入予定だったが、採点の公平性確保が困難などとして昨年十二月、見送りが決まった。

 

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