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【社会】

遺族「極刑でも軽い」 相模原殺傷 死刑求刑

19歳の美帆さん=遺族提供

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 「極刑でも軽い」「未来を全て奪われた」−。横浜地裁で十七日にあった相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者ら四十五人が殺傷された事件の論告求刑公判。検察側が植松聖(さとし)被告(30)に死刑を求めた法廷には、遺族らの悲痛な訴えが響いた。 (土屋晴康、杉戸祐子)

 殺害された十九人で唯一、名前で審理されている美帆さん=当時(19)=の母親が初めて出廷し、意見陳述した。遮蔽(しゃへい)されて姿は見えなかったが、「あなたが憎くて憎くてたまらない。八つ裂きにしてやりたい。極刑でも軽いと思う」と怒りをぶつけた。

 生前の美帆さんについて「笑顔がとてもすてきで、周りを癒やしてくれました。ひまわりのような笑顔でした」と一言一言かみしめるように話した。遺体との対面を振り返った際は「いつも温かい子がその時はすごく冷たくて冷たくて。一生忘れることができない冷たさでした」と涙声になった。

 被告人質問で植松被告が「(美帆さんの)お母さんのことを思うと居たたまれない」と語ったことにも触れた。「むかつきました。一ミリも謝罪された気がしません。冗談じゃないです。美帆にはもう会えないんです」と語気を強めた。

 法廷は静まり返り、遮蔽された遺族や家族の席からすすり泣く声が聞こえた。植松被告はほとんど表情を変えず、前を見ていた。

 また、遺族や被害者家族十二人を代表して意見を述べた弁護士は「死刑は当然」とした上で、社会の中に被告の独善的な考えに理解を示す反応があることに懸念を示し、「障害があって生まれた、病気で働くことができない、そうなって社会から排除される世界は、幸せな社会といえるでしょうか」と疑問を投げ掛けた。「命の価値に優劣はない。社会の在り方に対する犯罪として考えてほしい」と訴えた。

 閉廷後、事件で重傷を負った尾野一矢さん(46)の父親剛志(たかし)さん(76)は「遺族や被害者家族全員が死刑を望んでいた。(死刑求刑は)『当然』の一言」と淡々と語った。

 姉=当時(60)=を殺害された男性(61)は「意見陳述などで言い切れなかったことを検察がくみ取ってくれた」と話した。

 

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