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【社会】

新型肺炎 クルーズ船下船の夫婦「再検査なら陽性かも」 検査は10日以上前

この夫婦の客室は窓が開かないため、換気が悪かったという=提供写真

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 「自分たちが感染源になるかもしれない。下船直前に再検査してほしかったのに」。十九日午前に下船した広島市の七十代男性と六十代女性の夫婦が検査で陰性とされたのは、十日以上前。船内ではその後も多数の感染が判明しており、夫婦は「本当に大丈夫なのか」と不安に駆られている。

 夫婦は二月四日に、新型コロナウイルスの検査を受けた。三日後の七日に陰性の結果が出たが、一緒に旅行した五家族のうち三家族三人は陽性だった。

 早い段階で陰性でも、再検査で陽性になるケースは出ている。「私たちも再検査したら陽性になるかもしれない。下船が始まってからでも再検査をして、結果が出るまでは隔離してほしい」と訴え続けたが、認められなかった。

 客室の窓は開かないため換気が悪く、外のデッキに出られるのは数日おきで一日一時間程度。女性は「当初は頻繁に船内放送で陽性の人数も伝えられていたが、七十人の感染者が出た日から船内放送でも伝えられなくなり、BSニュースなどでようやく分かる程度になった。感染がどこまで拡大しているか分からない」と話す。

 再検査をしない理由を、厚労省の迫井正深審議官は「一定期間、発熱等の症状がなく、きちんと(生活状況の)管理がされていれば、一度ウイルス検査が陰性だった人が罹患(りかん)する可能性は極めて低い。希望するからといって検査をもう一度できるものではない」と説明する。

 一方、国立感染症研究所の元職員で国立病院機構三重病院の谷口清州(きよす)医師は「ずっと前に検査して陰性でも、今も陰性かどうかは分からない。潜伏期間を経過しても曝露(ばくろ)があればウイルスをもらっている」と指摘。「船内で感染伝播(でんぱ)が続いているとすれば、今後の十四日間の健康観察と、万一発症した場合にはすぐに診察できる医療機関にかかることが最も重要だ」と強調する。

 女性の知人の夫は持病があり、食事の受け取りも「感染するかも」と神経質になって、満足に食べられない状況だったという。「海外の人々がチャーター機で帰国するため下船したと聞くと、船内隔離は危険だったのではという気がする」と心配は募るばかりだ。

 女性の夫は「政府は事態の状況把握が全くできておらず対応が甘すぎる。現状や今後の対応を船内放送で伝えさせるのではなく、責任と権限のある政府の担当幹部が、乗客に向けてきちんと説明すべきだったのではないか」と批判している。 (望月衣塑子、井上靖史)

 

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