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【社会】

野田小4死亡初公判 「日常的虐待してない」 被告、虐待動画に表情変えず

 千葉県野田市で昨年一月、小学四年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=を虐待し死なせたとして、傷害致死罪などに問われた父親勇一郎被告(42)の初公判が二十一日、千葉地裁であった。「娘にしてきたことはしつけの範囲を超え、深く後悔している」と述べ、罪状認否では傷害致死を認めた。一方で、暴行内容については一部で争う姿勢を示した。

 公判冒頭、被告は前田巌裁判長に申し出て、「みーちゃん、本当にごめんなさい。真実を明らかにし、できる限りのことを話したい」などと涙ぐみながら述べた。

 「冷水シャワーをかけ続けたことはありません」などと暴行内容については一部を否認。心愛さんが児童相談所に一時保護される原因になった暴行については「していません」と明確に否定した。

 検察側は冒頭陳述で、心愛さんの母(33)と離婚後に復縁した被告は、次女が生まれると心愛さんを疎ましく思うようになったと指摘。「自分の思い通りにいかないことがあると、ストレスのはけ口として繰り返し虐待していた」と述べた。

 弁護側は「死亡させた責任は認めるが、心愛さんが寝転んで暴れたのでシャワーを数秒浴びせたにすぎない。あくまで教育のためで、日常的に虐待があったわけではない」と述べた。

 二十五日からは証人尋問が始まり、勇一郎被告の母親と妹、心愛さんの母親、児相職員らが出廷する予定。三月四〜六日に被告人質問があり、九日に結審、十九日に判決が言い渡される見通し。

 勇一郎被告は、昨年一月二十二〜二十四日、自宅で心愛さんに食事や十分な睡眠を与えずに浴室で立たせ、冷水シャワーを浴びせるなどして死亡させたとされる傷害致死罪のほか、心愛さんの母親に対する暴行罪など計六件の罪で起訴されている。

◆裁判員1人泣き出し、交代

 二十一日の初公判では、証拠調べで検察側が、心愛さんが死亡した当日の通報の様子や押収された勇一郎被告が記録したとみられる心愛さんの写真や動画などを裁判員らに示し、立証した。

 「子どもが動かなくなっちゃいました」。法廷では、心愛さんが自宅で死亡した昨年一月二十四日夜の一一〇番のやりとりの音声が再生された。当時の勇一郎被告は落ち着いた声で淡々と状況を説明していた。

 駆け付けた救急隊員の供述調書も読み上げられた。自宅アパートに到着すると、勇一郎被告は「素っ気ない態度で、どこかいらいらした様子だった」と隊員は説明。心愛さんは死後、一定時間がたっていたとみられたが、最後に話した時間を聞くと「さっきだよ」と回答したため、不自然に感じたという。

 一時保護のきっかけとなった、「お父さんにぼう力を受けています」とのアンケートを心愛さんが書く直前、勇一郎被告が撮影したとみられる写真や動画も流された。約五秒間の動画では法廷に心愛さんが大声で泣き叫ぶ声が響き渡り、女性裁判員一人が泣き出した。女性裁判員は途中で退席を申し出たため、補充の女性裁判員と交代した。

 勇一郎被告は、冒頭に用意した紙を読み上げ、涙ながらに心愛さんに謝罪した。午後の証拠調べでは、表情をほとんど変えずに廷内の大型モニターに視線をやり、説明に聞き入っていた。

 検察側は、自宅アパートから見つかった、心愛さんが勇一郎被告に宛てて書いたとみられる「反省の手紙」も読み上げ、法廷のモニターで示した。作成時期は不明だといい、「これからはパパとママの言うことを聞きます。本当に申し訳ありませんでした」などと鉛筆で丁寧な文字で書かれていた。

 中学二年の娘と、高校二年の息子がいる千葉県船橋市の会社員名取洋二さん(44)は勇一郎被告について「最初は涙を流して謝ったのにやったことは否定していて、まだ自分を守っていると感じた。真実をすべて話してほしい」と語った。 (山口登史、太田理英子)

 

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