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【社会】

<福島2020>(3)原子力災害伝承館@双葉町 まだ帰れない それが現実

住民の消えた街並み、津波の爪痕が残ったままの風景に建設が進む原子力災害伝承館の姿があった=福島県双葉町で

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 枯れ果てたススキが夕焼けに染まる福島県双葉町中野地区。津波被害で鉄骨だけとなった建物が今も点在する荒野に、異質に映る巨大施設の建設が進む。

 総事業費五十五億円をかけ、震災の記録や福島第一原発事故の教訓を伝える「東日本大震災・原子力災害伝承館」。立ち入りが許される午後五時まで工事車両がせわしなく走る。

 原発事故で唯一、全域避難が続く双葉町。三月四日に中野地区などが初めて、避難指示を解除される。夏に完成予定の伝承館は、周辺に整備される復興祈念公園とともに、新たな町のシンボルと位置付けられる。

 内堀雅雄知事は「五輪を視野に入れながら、オープンの準備を進めたい」と話すが、華やかな完成図の中に町民の姿はない。避難指示は解除されても、まだ居住はできないためだ。

 「伝承館は町のほんの一部。施設を見て『復興』と思われたら残念だ」

 双葉町から新潟県柏崎市へ移り住み、避難先で震災体験を伝えている渡辺浩二さん(50)は、町の歩む姿にもどかしさを覚える。

 町内で居住できるのは二〇二二年春ごろの見込み。「俺たちはまだまだふるさとに帰れない。それが現実だ」 (写真と文・岩本旭人)

 

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