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【社会】

群馬ヘリ墜落 機長「空間識失調」原因 雲の中で視界失う

群馬県防災ヘリの乗員が撮影していた動画の一部。墜落直前に機体の周囲が雲に覆われている=2018年8月(運輸安全委員会提供)

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 運輸安全委員会は二十七日、登山道の調査をしていた群馬県の防災ヘリコプターが二〇一八年八月、同県中之条町の山中に墜落し、乗員九人全員が死亡した事故の調査報告書を公表した。天候悪化のため雲の中を飛行して周囲の地形が確認できなくなり、天海(あまがい)紀幸機長=当時(57)=が、機体の姿勢を錯覚する「空間識失調」に陥り、正常に操縦できなくなったのが原因とした。当日のヘリの運航は目視に頼る「有視界飛行方式」だった。

 安全委は、防災や警察などのヘリは業務上、気象条件が急変しやすく予測も難しい山あいを飛ぶケースが多く、空間識失調になる危険性を伴うとして、早めの引き返しや自動操縦モードを活用することの徹底を求めた。国土交通相にも予防策の周知を勧告した。

 防災ヘリの事故が近年続発していることを踏まえ、操縦士の不調に備えた「ダブルパイロット制」の有効性も指摘。総務省消防庁は昨年、二二年四月から導入する新ルールを決めている。

 報告書によると、「ベル412EP」型の防災ヘリ「はるな」は一八年八月十日午前九時十四分ごろ、前橋市の群馬ヘリポートを離陸し午前十時一分ごろ墜落した。県が運航を委託していた東邦航空から出向した天海機長や吾妻広域消防本部の隊員らが乗っていた。

 機長は墜落の約二十分前から、雲を避けながら地表を確認しようと針路や高度を変えながら飛行。墜落直前、周囲を雲に覆われた状態で加速や旋回をしたことで、空間識失調になった。

 ヘリは安全のため限界とされる地表から百五十メートル以下の低空を飛ぶこともあった。報告書は百五十メートル以下を飛んだ際に引き返す決断が必要で、早めに自動操縦モードを活用すべきだったと結論付けた。

 

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