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【社会】

車いす客は「事前連絡を」 JR東、無人化推進83駅で要請

国立競技場に近く、早朝に駅員が不在となるJR千駄ケ谷駅=東京都渋谷区で

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 JR東日本で一日一万人以上が乗車する駅のうち、関東の都市部にある八十三駅で、乗降に介助が必要な車いす利用者に事前連絡を求めていることが分かった。合理化により駅員不在の時間を設けているためで、東京五輪・パラリンピックを機に進むバリアフリー化に逆行するとして、障害者が抗議の声を上げている。

 JR東は二〇一四年以降、改札機などの遠隔操作装置を導入し、早朝を中心に改札口の「無人化」を進めている。対象駅数は非公表。同社は取材に、事前連絡の要否は、公益財団法人が運営するバリアフリー情報サイト「らくらくおでかけネット」や駅の掲示で案内していると説明した。

 同サイトや駅掲示などで、一八年度に一日平均一万人以上が乗車した管内二百八十七駅を調べると、今年二月の段階で、東京都と埼玉、千葉、神奈川各県の少なくとも八十三駅で「駅員不在時間がある」とし、車いす利用者には原則、前日に連絡するよう求めていた。

 一日五万人以上が乗る国立(東京都国立市)、五輪会場の国立競技場に近い千駄ケ谷(渋谷区)や信濃町(新宿区)は、始発から午前六時半ごろまで無人に。埼玉と東京を結ぶ埼京線は、北戸田(埼玉県戸田市)や北与野(さいたま市)など七〜九時間、駅員が不在になる駅もある。三月のダイヤ改正で対象駅は拡大する見通しだ。

 JR東は「利用状況を勘案し、駅員が一部時間帯に別業務に当たるなどしている」と説明。車いす利用者が連絡なしに訪れた場合はインターホンで対応し、近隣駅などから人員が向かうとする。

 他のJR旅客五社も鉄道事業の合理化を進め、全国で無人駅は増えている。さいたま市の障害者支援団体「虹の会」事務局長で、車いすを使う加納友恵さん(44)は「インターホンでは目や耳に障害がある人に対処できない。外国人や高齢者が増える社会に対応するためにも駅員は必要ではないか」と訴えた。

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◆駅員不在「1時間待ち」も

 鉄道駅の「無人化」がローカル線にとどまらずJR東日本管内の都市圏にも及び、乗降前の連絡を強いられる障害者らが困惑している。人口減を見据えた鉄道事業の合理化は全国的な流れだが、政府が目指す社会のバリアフリー化に向け、大きな課題となりそうだ。

 「ふと出掛けたくなることもある」「なぜ障害者だけが事前連絡をしなければならないのか」。2月8日、障害者支援団体「虹の会」がさいたま市で開いた集会で、参加者から批判が相次いだ。

 筋ジストロフィーで車いす生活を送る羽富拓成さん(36)は昨年、JR池袋駅(東京都豊島区)で駅員に1時間待つよう言われた。目的地の南与野駅(さいたま市)に駅員がおらず、降車時にスロープを出せないという。結局、別の駅で降りてバスでの移動を余儀なくされた。「電車に乗りたい時に乗せてほしい。望むのは、それだけなのに」とこぼす。

 JR東海や西日本も、遠隔で顧客対応できるシステムの導入に伴い、駅の無人化や窓口廃止を実施。JR九州が2017年に大分市内8駅の無人化計画を明らかにすると、障害者団体が見直しを求め、提訴の動きも出ている。

 国土交通省の担当者は、人員削減は事業者の判断としながらも「障害者の声を聴き、利用できない状況を生まないよう努めてほしい」と話した。

 

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