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【社会】

<東京2020延期>暮らしへ しわ寄せ懸念 追加費用数千億円規模も

東京五輪が延期になった国立競技場=東京都新宿区で

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 東京五輪・パラリンピックの延期を受け、大会組織委員会などが算定を進める追加費用は、大会関係者の間で「数千億円規模」との見方もある。市民からは「費用増はやむを得ない」と容認する一方、子育てや景気対策など身近な暮らしへのしわ寄せを心配する声も上がる。  (藤川大樹、浅野有紀、奥野斐)

 延期決定から一夜明けた二十五日、晴天に恵まれた国立競技場(東京都新宿区)周辺はマスク姿で散策する人の姿が目立った。品川区から夫と見学に訪れた泉初枝さん(86)は「新型コロナウイルスから選手や観客を守るため、延期は仕方ない。追加費用もやむを得ないのでは」と話した。

 東京大会の開催経費は、五輪招致に手を挙げた際の都試算の倍近い一兆三千五百億円に膨らんだ。これに加えて、延期による会場のキャンセル料や組織委の人件費などが発生する。首にカメラを下げた千葉市の元会社員男性(69)は「延期は中止より経済損失は小さいが、追加費用は誰がどう負担するのか」と注視。

 江東区のディスカウントストアに買い物に来ていたスナック経営、水庭(みずば)健二さん(68)は経費増によるしわ寄せが来ないか、気掛かりという。「景気回復を優先してほしい。感染拡大で、飲食店はどこも苦しいから」と嘆く。

 保育現場では、新型コロナ対策と年度末の異動・退職が重なり、人手不足がいつにも増して厳しい。休み時間が取れないという都内の保育士女性(60)は「保育士の待遇は低いまま。五輪より、子どもの育ちに目を向けて」と訴える。

 一人親で、医療的ケアが必要な長女(16)を育てる中野区の福満美穂子さん(47)は、感染症にかかると娘のケアができなくなるため、いつも以上に除菌や消毒に気を使う。「延期は仕方ないが、福祉の拡充にお金が回るか不安。私たちの存在も忘れないで」

 東日本大震災の被災者からも不安が漏れる。福島県大熊町役場の元総務課長で、同県郡山市で避難生活が続く鈴木久友さん(67)は「復興予算が削られないか心配。復興五輪の理念も忘れないで」とくぎを刺す。

 同県浪江町から埼玉県上尾市に避難している「東日本大震災に咲く会 ひまわり」の代表橘光顕さん(54)は「延期に伴う出費は仕方ない。だが、復興が終わっていないこの時期に開催するという判断が、そもそも間違い」と語った。

 

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