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【政治】

裁量労働制 拡大目指す政府 労働側の反発必至

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 政府が、あらかじめ決められた時間を働いたとみなす「裁量労働制」の対象拡大に向けた検討をスタートさせた。先の通常国会で成立した「働き方」関連法には当初、対象拡大が盛り込まれていたが、厚生労働省の調査に不適切なデータが多数見つかった問題を受けて削除された。裁量労働制は長時間労働につながると指摘されるだけに、労働側の反発は必至だ。 (編集委員・上坂修子)

 「厚労省が行う調査に懸念を抱かせた。それを払拭(ふっしょく)するため、しっかりとやっていく」

 裁量労働制対象者と一般労働者の労働時間をどのような方法で調査、比較するのか議論する厚労省の検討会が二十日開かれ、坂口卓労働基準局長は、失った信頼を取り戻すと強調した。

 検討会は統計、労働経済学の専門家、労使関係者らで構成。調査対象や質問項目、調査方法などを議論する。初会合となったこの日は、裁量労働制で働く人の労働時間は一般労働者よりも長いという独立行政法人「労働政策研究・研修機構(JILPT)」調査結果が示された。

 厚労省は年内に検討会の結論を得て、来年四月以降、裁量労働制で働く人と一般労働者の労働時間を比較する新たな調査を実施。労働政策審議会での議論を経て、早ければ二〇二〇年の通常国会に、裁量労働制の対象を拡大する関連法案を提出したい考えだ。

 加藤勝信厚労相は「調査結果を踏まえ、裁量労働制のあり方を議論してもらう」とだけ説明するが、同省幹部は「当然、対象拡大の方向だ」と明言する。

 裁量労働制は一九八七年に導入された。政府は経済界の要請を受けて対象拡大を目指してきたが、どれだけ働いても決められた残業代は増えないため、野党や労働界には「定額働かせ放題」との批判が強い。

 先の通常国会では、安倍晋三首相が「裁量労働制で働く人の労働時間は、一般労働者よりも短いというデータもある」と答弁。その根拠となった厚労省調査に「一日の労働時間が一時間以下」といった異常値が多数見つかり、首相は答弁を撤回、謝罪した。

 労働問題に詳しい上西充子法政大教授は、JILPT調査では裁量労働制の方が労働時間が長いことや、みなし労働時間と実労働時間の乖離(かいり)が大きい結果が出ているとして「まず、この結果をどう見るか、きちんと議論すべきだ」と指摘。新たな調査に関し「やろうとしていること(裁量労働制の拡大)が果たして適切なのかを判断するに足るだけの調査項目を調べないとだめだ」と指摘する。

 

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