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【政治】

妊婦加算なぜ 「少子化対策に逆行」批判噴出

初診料に「妊婦加算」を上乗せした医療機関の明細書

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 妊娠中の女性が病院や診療所を外来受診した際、今春から請求されるようになった「妊婦加算」を巡り、インターネットを中心に「少子化対策に逆行」などと批判の声が噴出している。妊娠と直接関係のない診療科でも負担する仕組みの上、医療機関側の説明が不十分なケースが多いためだ。

 厚生労働省は「妊婦の診療には薬の処方などで特別な配慮が必要」と理解を求めるが、相次ぐ異論を受け今月から制度の周知に力を入れ始めた。

 東京都内に住む妊娠五カ月の女性(34)は、近所の皮膚科でもらった明細書に書かれた「妊婦加算(初診)」の文字に驚いた。頭部のかゆみで受診したが、妊娠を口頭で告げると、医師からは「薬を弱めにしておきますね」と言われただけ。「薬や診断に気を使うのは医師として当然のこと。なぜ妊婦だけ負担増になるのか納得がいかない」

 女性たちの不満の声はここ数カ月、主にネット上で拡散。ツイッターには「少子化なのだから妊婦の負担は減らすべきだ」「妊婦いじめ」といった書き込みが絶えない。

 妊婦加算は四月の診療報酬改定で新設。初診で七百五十円、再診で三百八十円が上乗せで医療機関に入る。妊婦側の支払いは自己負担三割だと初診で約二百三十円、再診で約百十円増える。深夜や休日、診療時間外はさらに増額される。ただ、通常の妊婦健診は対象外だ。

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 岩手県在住の女性(29)は眼科でコンタクトレンズの処方を受けた際、妊婦加算に気付いた。妊娠七カ月。問診票の妊娠中の欄に○をつけたが、医師から質問や説明は一切なかった。「産婦人科ならまだしも、関係ない診療科まで…。妊娠中は体調の変化が大きいのに、医者にかかるのをためらってしまう」と憤る。

 厚労省は妊婦加算導入の理由を「妊娠中の外来患者に対しては、合併症や感染症への対応や適切な薬の選択など、母体や胎児に配慮した診療が求められるため」と説明。医療機関への報酬を手厚くすることで、妊婦の医療支援体制の充実につなげたいと強調する。背景には、リスクを恐れて妊婦の診察を敬遠する医師の存在もある。

 新潟県内で耳鼻科を開業する男性医師(55)は「妊婦の診療は、他の患者に比べかなり手間がかかる。加算があってもいい」と話す。だが「普段よりも会計が高い」と妊娠中の患者からクレームを受けたことも。「医療機関の独断ではないのだから、国がきちんと制度を周知すべきだ」

 こうした声を受け、厚労省は今月二日、全国の自治体を通じ、加算の額や趣旨を記したリーフレットの配布を始めた。

 

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