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【政治】

勤労統計、際立つ悪質性 不正を職員把握、意図的加工

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 毎月勤労統計の不正調査問題は、安倍政権下で相次いで明るみに出ている調査や統計の誤りの中でも悪質さが際立つ。厚生労働省の一部職員は不正を認識していた上に、調査方法を正しく装うためにデータを意図的に加工していたからだ。今後の調査では、抽出調査の動機や組織的な関与の有無が焦点になる。 (中根政人、木谷孝洋)

 昨年、続けざまに発覚したデータ問題も、国民の生活に関する政策の根幹を揺るがした。(1)裁量労働制を巡る厚労省の調査データの誤り(2)中央省庁による障害者雇用水増し(3)失踪した外国人技能実習生に対する法務省調査の集計ミス−だ。野党は「捏造(ねつぞう)ではないか」と国会で追及したが、政府はいずれの問題も「意図的ではない」と主張した。

 ところが、毎月勤労統計の不正調査に関しては、厚労省は一部の職員が知っていたことを認めた。昨年一月分の調査に際し、全数調査に近づける補正処理を始めたのに、公表しなかったことも明らかにした。

 さらに、同年十二月二十日に根本匠厚労相が問題に関する報告を受けた翌日には、調査手法の不正は伏せたまま十月分の「確報値」を公表した。不正が「意図的」だったことは明白で、「組織的隠蔽(いんぺい)」も疑われて当然の経緯だ。

 国民民主党幹部は「補正処理を始めた昨年一月に公表すべきなのに、国会が働き方改革でもめていたから隠したのだろう」と指摘。野党は「影響は計り知れない」(共産党の小池晃書記局長)と国会で追及する構え。与党からも「全く許せない。第三者機関が原因を究明すべきだ」(公明党の斉藤鉄夫幹事長)と求める声が出ている。

 勤労統計調査は、雇用保険の失業給付や労災に遭った場合の休業補償給付などの算定にも使われる。安倍晋三首相は「全世代型社会保障の実現」の中核として生涯現役社会に向けた雇用制度改革に意欲を示す。その前提となるデータに関する不正の全容を早期に解明し、再発防止策を講じなければ、雇用制度改革に国民の信頼は得られない。

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