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【政治】

首相、統計不正を陳謝 改憲「各党の議論期待」 施政方針演説

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 第百九十八通常国会が二十八日召集された。安倍晋三首相は午後の衆院本会議で施政方針演説を行う。厚生労働省による毎月勤労統計の不正問題について陳謝し、再発防止に全力を尽くすと訴える。これまでの演説で強い意欲を示してきた改憲を巡って、野党の反発を踏まえ、国会での各党の議論を呼び掛ける。北方領土問題は「次の世代に先送りせず、必ずや終止符を打つ」とロシアとの平和条約締結に向け、交渉加速への決意を示す。 (妹尾聡太)

 首相は演説で、勤労統計不正問題を「セーフティーネットへの信頼を損なうもので、国民におわびする」と謝罪。雇用保険などの不足分支給を速やかに行い、信頼回復に向け他の政府の統計も含めて「徹底した検証を行う」と表明する。

 改憲については「国会の憲法審査会で、各党の議論が深められることを期待する」と話す。昨年一月の施政方針演説では「具体的な案」を提示するよう各党に求めたが、今回は見送った。

 幼児教育・保育無償化の実施に向けて、今年十月に消費税率を10%へ引き上げる考えを改めて明言。「少子高齢化を克服し、全世代型社会保障制度を築き上げるために、安定的な財源がどうしても必要だ」と訴える。

 外交面では、安倍政権が掲げる「地球儀俯瞰(ふかん)外交」の「総仕上げの時だ」と主張。「戦後七十年以上残されてきた課題」とする日ロ平和条約締結に向け、一九五六年の日ソ共同宣言に基づいて「首脳間の深い信頼関係の上に、交渉を加速させる」と語る。

 北朝鮮については「核、ミサイル、拉致問題の解決に向けて、相互不信の殻を破る」とし、日朝首脳会談に意欲を示す。関係が悪化する韓国については、日朝関係の改善を図る中で「米国や韓国をはじめ国際社会と緊密に連携していく」と触れるにとどめる。

 沖縄県の米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の移設に伴う名護市辺野古(へのこ)の新基地建設を推進する方針を重ねて説明。昨年の施政方針演説にあった「沖縄の方々の気持ちに寄り添い」との表現は、今回は使わない。

 首相は演説の冒頭で「平成最後の施政方針演説」と説明。皇位継承を「国民こぞってことほぐことができるよう、万全の準備を進める」と述べる。

◆政治不信解消 決意見えず

<解説> 安倍晋三首相は二十八日の施政方針演説で、厚生労働省の毎月勤労統計不正問題について陳謝するものの、再調査を余儀なくされた特別監察委員会の調査のずさんさには言及しない。森友・加計学園問題にも触れず、政治不信解消に向けた首相の決意は見えない。

 勤労統計の不正調査は、民主党政権期を含めて長く続いてきた。このため「野党の責任もある」として、安倍政権への批判はさほど強くならないとの見方が、与党内には少なくなかった。

 しかし、特別監察委の調査で、ヒアリング対象となった厚労省職員への聞き取りを身内の同省職員が行ったことが判明。早期幕引きを図ったことが裏目に出て、これまでに発覚した財務省の文書改ざんや障害者雇用水増しなどで国民が抱いた政治不信を、より深める事態となっている。首相自身についても、森友・加計問題を巡る疑念が解消されたわけではない。

 首相は第一次政権時の二〇〇七年、参院選で大敗した約一カ月後に辞任した。背景には「消えた年金」と呼ばれた年金記録の不備や閣僚の不祥事があった。首相が本気で政治不信の解消に乗り出さなければ、有権者は、今夏の参院選で厳しい審判を下すことになる。 (関口克己)

 

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