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【政治】

首相発言「自衛隊募集 都道府県6割協力せず」 名簿提出義務 自治体になし

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 憲法九条に自衛隊を明記する改憲に絡み、安倍晋三首相が自民党大会で「都道府県の六割以上が新規隊員募集への協力を拒否している」と語ったことに対し、憲法学者や野党から疑問や批判の声が上がっている。首相発言は、適齢者の氏名や住所を記載した名簿の提供を念頭に置いているが、憲法学者は「情報提供は自治体の義務とはいえない」と指摘した。

 自衛隊法は、自治体が自衛官募集に関する事務の一部を行うと規定。同法施行令一二〇条は、防衛相は自衛官募集に関し「知事または市町村長に対し、必要な報告または資料の提出を求めることができる」と定めている。防衛省は各市町村に適齢者名簿の提供を求め、得られた場合は自衛官募集のダイレクトメールを発送している。

 首相は十二日の衆院予算委員会で、党大会での発言について「正しくは都道府県と市町村だ。自治体だ」と修正した。岩屋毅防衛相は記者会見で「市町村の約六割に協力いただけていないことは事実だ」と名簿提供は四割にとどまることを強調した。名簿提供を受けていない場合、自治体の住民基本台帳から適齢者の情報を得ていると説明した。

 防衛省によると、全国の約千七百の市町村で、二〇一七年度に適齢者の名簿を作成して提供したのは約四割。市町村が名簿を作ったものの提供はせず、防衛省職員が手書きで写したケースが約三割。自治体は名簿を作らず、防衛省職員が住民基本台帳を閲覧して該当者を選んで書き写したケースが約二割。住民基本台帳から情報を得なかったケースは約一割だという。

 独協大の右崎正博名誉教授(憲法・情報法)は自衛隊法施行令について「名簿の提供を義務付けているとは読めない。政府は都合良く解釈している」と指摘。「個人情報保護の観点からは、本人の了解を得ずに提供することには大きな疑問が残る。自治体が名簿提供を拒否しても間違っているとはいえない」と話した。

 社民党の又市征治党首は記者会見で「憲法改正は自治体に協力を求めるためにやるんだと言わんばかりで、とんでもないフェイクだ」と述べた。 (村上一樹、上野実輝彦)

 

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