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【政治】

首相の温暖化懇提言「石炭火力全廃」案後退 産業界反対「依存引き下げ」に

有識者懇談会で、北岡伸一座長(右)から提言を受け取る安倍首相=2日、首相官邸で

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 日本の地球温暖化対策の提言をまとめた首相の有識者懇談会の議論で、主要論点の石炭火力発電の廃止に産業界の代表委員が強く反対し、内容が大きく後退したことが共同通信が入手した内部文書などで明らかになった。座長の文案は「長期的な全廃」を明記したが、最終的に提言は一部委員の主張に沿う形で「依存度を引き下げる」との表現にとどまった。

 「脱炭素」を掲げるパリ協定の本格始動を二〇二〇年に控え、二酸化炭素の排出が多い石炭火力を推進する日本には厳しい目が注がれており、さらに批判が強まりそうだ。懇談会の提言を基に政府は、パリ協定で策定が求められている国の戦略を六月に大阪市で開く主要二十カ国・地域(G20)首脳会合までに作るが、石炭火力に固執すれば前向きな議論の妨げになりかねない。

 懇談会は「パリ協定長期成長戦略懇談会」。座長の北岡伸一・国際協力機構理事長は二月八日に委員に示した「提言案」で、石炭火力について「長期的に全廃に向かっていく姿勢を、世界や企業に向かって明示すべきである」とした。

 提言案にトヨタ自動車の内山田竹志会長、経団連の中西宏明会長、日本製鉄の進藤孝生(こうせい)会長の三委員がそろって意見書を提出。石炭を重視する国のエネルギー基本計画などを理由に「依存度を低下していく姿勢」に修正するよう要求した。四月二日にまとまった提言では「依存度を可能な限り引き下げること等に取り組む」とされた。

 発展途上国支援に関しても座長は「石炭火力発電に公的資金は投入しない」ことを選択肢として提示。支持する委員もいたが、最終的に産業界の意見に近い「パリ協定の長期目標と整合的に排出削減に貢献する目的で、支援を行う」との玉虫色の記述になった。

 「世界のエネルギーアクセス改善と温暖化対策という二つの課題の両立のためカーボンリサイクルを推進し、世界に貢献する」との提言の表現も、石炭火力は世界のエネルギー需要を満たす上で必要との産業界の意見を踏襲したものだった。

 

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