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【政治】

企業型保育所 1割が助成決定後に中止 国、ずさん審査露呈

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 企業が国の助成を受けて運営する企業主導型保育所について、二〇一六〜一七年度に国の助成決定を受けた施設の約一割が保育事業を中止していたことが二十六日、内閣府の調査で分かった。運営計画が甘い企業にも多額の助成金が交付された実態が明らかになった。事業をやめた七施設からは、計二億円以上の助成金が返還されていないことも判明した。

 内閣府は助成決定を受けた全二千七百三十六施設を検証。うち二百五十二施設が事業を取りやめた。助成金の不正受給などの悪質行為が発覚し、交付金決定が取り消された施設は二カ所、破産・民事再生した施設は十カ所、事業の休止は十二カ所で、全体の約一割の計二百七十六施設が事業を続けられなくなっていた。

 事業取りやめの主な理由は「申請者の都合」(百十施設)や「年度内に着工に至らなかった」(四十三施設)、「利用児童数を十分に確保できなかった」(三十四施設)などだった。

 宮腰光寛少子化対策担当相は、内閣府の会合で「反省すべき点は反省し、本来の良さや役割を維持しつつ、改善を図りたい」と語った。

 政府は今後、助成金決定の審査や、開所後の指導を厳格化する。待機児童のいない地域の企業型保育所が定員割れしやすい傾向や、保育事業の中止で園児が行き場を失うリスクを踏まえ、自治体との連携も促す。

 政府は引き続き、企業型保育所を待機児童対策の切り札と捉え、認可施設並みの助成金を充てる。施設の増加が見込まれる中、問題のある施設をどう排除するかが課題になる。設置を推進する経済界は規制強化に慎重で、会合に出席した経団連の担当者は「行政の過度な指導で、保育所がつくれないということがないようにしてほしい」と訴えた。

 保育問題に詳しいジャーナリストの小林美希氏は「破産寸前の企業の助成金申請が認められるなど、常識では考えられないずさんな審査が露呈した。安定した運営のために、自治体の関与を強化すべきだ」と話した。 (大野暢子)

<企業主導型保育所> 企業が従業員向けに整備したり、保育事業者が設置して複数の企業が利用したりする保育所。近隣の児童を受け入れる「地域枠」も設けられる。企業が負担する「事業主拠出金」を財源に2016年度に始まり、18年3月末時点の施設数は2597(定員約6万人)。運営基準は認可施設より緩いが、認可施設並みの助成金が受けられる。助成金の決定や指導は、内閣府の委託で公益財団法人「児童育成協会」が担ってきたが、人員体制に課題があるとして、内閣府は今夏にも、実施機関を新たに公募する。

 

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