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【政治】

「災害関連死」政府が定義 弔慰金は自治体判断のまま

 政府は地震などによる負傷の悪化や避難生活の負担が原因で死亡する「災害関連死」を定義し、自治体に通知した。二〇一一年の東日本大震災を除き、初めて。ただ定義をしても、自治体ごとに災害関連死を認定し、被災者に災害弔慰金を支給する仕組みはそのまま。住む自治体によって弔慰金を受け取れる人とそうでない人が出かねず、不公平な状態は残ったままだ。

 内閣府が四月三日付で、政府の定義を各都道府県に通知した。復興庁が東日本大震災に限って決めた震災関連死の定義と同様、災害による負傷の悪化、避難生活での身体的負担による疾病で死亡し、災害弔慰金の支給対象と認められた人を災害関連死とした。

 内閣府防災担当は、定義を決めた理由について「近年、災害が多発していることを受けて、今後の災害でも関連死の死者数を把握できるようにするためだ」(担当者)と説明している。

 災害関連死の概念は、一九九五年の阪神大震災で生まれた。東日本大震災の災害関連死は、東京電力福島第一原発事故により避難した住民にも適用され、福島県では直接死の死者数を上回った。一六年の熊本地震でも、直接死が五十人だったのに対し関連死は二百十八人で、避難所の環境改善が指摘された。

 避難所におけるインフルエンザなどの感染症、車中泊によるエコノミークラス症候群の発症などが死因として挙げられる。避難生活中の自殺が関連死と判断されたケースもあった。

 同じ災害で自治体の判断が異なり、災害弔慰金をもらえなかった人が民事訴訟を起こすケースもある。

 政府はこれまで、地域事情が異なることなどを理由に、統一的な基準づくりを避けてきた。今回定義は決まったものの、災害関連死かどうかの判断を各自治体に委ねているため、今後も同様のケースが発生する可能性がある。

 東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市は「被災三県(岩手、宮城、福島)でも認定率に差があった。国の統一的な基準があった方がよい」(同)と指摘。兵庫県立大大学院の室崎益輝(よしてる)教授(減災復興政策)は「自治体が関連死の存在を積極的に認めていけるよう、政府が制度面で後押しすべきだ」と指摘する。 (中根政人)

<災害弔慰金> 災害が原因で死亡したと認定された人の遺族に、500万円を上限に弔慰金を支払う制度。都道府県と市町村が4分の1ずつ負担し、残りは国の負担。建物の倒壊による圧死、津波や洪水での水死など直接死だけでなく、けがの悪化や避難生活での疲労やストレスが原因で、災害から一定期間後に死亡した場合も、災害との因果関係が認定された場合は「関連死」とみなされ、弔慰金が支給される。

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