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【政治】

原告以外の家族も補償へ ハンセン病訴訟で首相謝罪

ハンセン病訴訟の控訴見送りに関する安倍首相の談話について、記者会見する家族訴訟原告団の林力団長(左)と、原田信子さん=12日午前11時15分、東京・永田町の衆院第1議員会館で(小平哲章撮影)

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 政府は十二日午前の持ち回り閣議で、ハンセン病元患者の家族に国の賠償責任を認めた熊本地裁判決の控訴見送りを受け、安倍晋三首相の談話と政府声明を決定した。首相談話には、元患者と家族の苦痛と苦難に対し「政府として改めて深く反省し、心からおわび申し上げます」と謝罪の意が盛り込まれた。「訴訟への参加、不参加を問わず、家族を対象とする補償の措置を講ずる」とも明記した。 (妹尾聡太)

 首相は談話で、原告団ら家族と直接面会し、政府の方針を伝える意向を示した。政府は今後、法整備による補償措置を念頭に調整を進める考え。ただ、対象となる家族の把握や認定の在り方など、補償措置に向けた課題は多いとみられる。

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は記者会見で、補償対象の家族の範囲について早急に検討するとした。首相と家族の面会の日程は「調整している」と話すにとどめた。首相は十二日、参院選の自民党候補応援のため三重県を訪問し、官邸には不在だった。

 首相談話では、家族に対して「社会において極めて厳しい偏見、差別が存在したことは厳然たる事実」と指摘。熊本地裁判決には法律上の問題点があると言及しながらも「確定判決に基づく賠償を速やかに履行する」とした。

 政府声明では、一定期間が過ぎると賠償の請求権がなくなる時効(三年)の起算点や、関係閣僚、国会議員の責任について、今回の判決は「国家賠償法、民法の解釈の根幹に関わる法律上の問題がある」などと指摘した。

 六月二十八日の熊本地裁判決は、国のハンセン病患者隔離政策で家族が差別被害に遭い、国は偏見や差別をなくそうとしなかったと認定。原告五百六十一人のうち五百四十一人に計約三億七千六百万円の賠償を命じた。今月十二日が控訴期限だった。

 政府内に控訴が既定路線との認識が広がっていた中で、首相は九日、記者団に「筆舌に尽くしがたい経験をされたご家族のご苦労をこれ以上、長引かせるわけにはいかない。異例のことだが、控訴しないこととした」と表明していた。

◆家族と協議の場設置 根本厚労相

 根本匠厚生労働相は十二日、ハンセン病家族訴訟の控訴見送りに関する首相談話を巡り「家族の抱える問題の解決を図るため協議の場を設置する」と山形県米沢市で記者団に明らかにした。

 根本氏は厚労省としても反省しておわびすると表明し「家族の皆さまの意見を聞き、寄り添った支援を進め地域で安心して過ごすことができる社会の実現に取り組んでいく」と強調した。

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