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【政治】

<国会バリアフリー>議員の意識変化「楽しみ」 ALS患者 国会出席拒まれた岡部さん

2016年5月、参院厚労委に参考人として出席し、ヘルパーに意見を伝える日本ALS協会の岡部宏生さん(中央)

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 「重度障害者があなたのそばにもいることを、知ってもらえる良い機会になると思います」。難病の「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」患者らが参院選でれいわ新選組から当選したことに、同じく患者で、過去に国会への出席を拒まれた岡部宏生(ひろき)さん(61)は語る。深刻なヘルパー不足など、当事者を取り巻く環境への理解の広がりを願う。

 岡部さんは二〇〇六年、四十八歳の時に発症。人工呼吸器をつけ二十四時間の介護を受けて暮らす。声を発することができず、目や口のわずかな動きを読み取るヘルパーを介して意思を伝える。

 日本ALS協会の会長などを歴任。一六年五月、障害者総合支援法改正案を審議する衆院厚生労働委員会に参考人として出席予定だった。だが、自民党から「やりとりに時間がかかる」として拒まれた。

 「障害者支援の法律に意見を述べる場で、その当事者を拒否するなんて。国会にあきれてしまうしかなかった」と振り返る。その後、参院厚労委に出席し「さまざまな障害に思いをはせてほしい」と訴えた。

 一日、ALS患者の舩後靖彦氏(61)と、脳性まひの木村英子氏(54)が初登院した。大型の車いすを使う二人に合わせ、本会議場などが改修された。「施設の『ハード』改善は、『ハート』改善のきっかけになる。スロープは段差だけでなく、心にも架かると思う。議員の意識が飛躍的に変わることが楽しみです」

 重度障害者が働くと、その間の介護費に公的補助が出ない問題などについて、障害福祉の財政面も踏まえた深い議論を求める。「それが、二人が当選した意義です」

 現在はNPO法人「境を越えて」の理事長で、重度障害者の生活を支えるヘルパーを増やすため、学生向けの研修などに取り組む。「重度障害者の介護は極めて高いスキルが必要。一般的な(高齢者の)介護者不足とは全く違う深刻さで、『命の選択』にも関わる」と説明する。

 全国に九千人超いるALS患者は全身が次第に動かなくなり、呼吸もできなくなっていく。ヘルパー不足から、家族の介護負担を心配し、患者の七割は人工呼吸器の装着による延命措置を取らないという。力強いまなざしで、状況の変化を願った。「生きる選択もあることを彼らに知ってほしい。生きることができる社会になってほしいのです」

 

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