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【政治】

<つなぐ 戦後74年>不戦継承どうすれば 加害者の視点持ち多面的に

献花台に向かって静かに手を合わせる男性たち=15日、東京都千代田区の千鳥ケ淵戦没者墓苑で

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 初めて全国戦没者追悼式に参列された天皇陛下は、緊張した様子で「お言葉」を述べ、非戦の願いを継承する思いを示した。戦争経験者が急速に減る中、若い世代の橋渡し役も模索を続ける。旧軍兵士の証言活動に携わる有識者は「被害者としてだけでなく、加害者側の視点でも伝えていくべきだ」と指摘する。

▽緊張

 「どんな時でもあまり緊張することがない」と周囲に語る天皇陛下が、この日は違った。標柱の前に進む足取りはぎこちなく、モーニングの内ポケットからお言葉の書かれた紙を取り出す手は震えていた。

 「深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い…」。お言葉は、上皇さまが昨年述べた文面をほぼ引き写した内容だった。「変えないことで、平和への思いを確かに受け継ぐ覚悟を示された」(宮内庁幹部)。その重みを表すように、陛下の声はいつもより低く、かすれていた。

▽試行錯誤

 時の経過とともに戦争経験者は減り続け、陛下と同じ戦後世代が社会の八割超を占めるようになった。

 不戦の誓いをどう継承するか−。この問い掛けは、世代や階層を超え広がる。「被爆者の話を聞ける最後の世代かもしれない。私たちが頑張らなきゃというプレッシャーもある」。国際社会で核兵器廃絶を訴える「高校生平和大使」を務める高校二年の橋田晏衣(あい)さん(17)は被爆者の証言を引き継ぐ重みを感じている。「どうやってリアルに伝えればいいのか」と試行錯誤を重ねる。

 「これまでの『戦争の記憶』は被害者の視点が多く一面的になりがちだった」。旧軍兵士の証言を残す活動をしている「戦場体験放映保存の会」事務局次長の田所智子さん(53)は指摘する。兵士は、加害者の側面とともに、飢えに苦しんだ被害者としての側面もある。「戦争には多面性がある。いろんな視点から捉えることで、全体を浮かび上がらせることができる」

 「つらい話だから」とためらわず、身近な戦争経験者に話を聞く意義を指摘。「そうすることで戦争体験が特別なものではなく、自分たちのこととして考えることができる」と訴えた。

 

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