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【政治】

日韓パイプ 機能不全 努力実を結ばず協定破棄

日韓軍事情報包括保護協定の破棄決定の通告を受け、厳しい表情で韓国外務省を出る長嶺安政駐韓大使=23日、ソウルで(共同)

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 韓国による日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)破棄の通告は、日韓の外交や防衛当局、国会議員同士のパイプが機能していないことを露呈した。対立解消に向け、日韓のさまざまなレベルでの外交努力を重ねたが、実を結ばなかった。 (上野実輝彦、山口哲人)

 日韓の外交ルートは、関係悪化の根本原因である元徴用工への賠償問題で譲歩の余地を見いだせない。五月に新たに着任した南官杓(ナムグァンピョ)駐日韓国大使と、河野太郎外相や複数の政府高官は秘密裏に会食するなどして妥協点を探り続けたが、意思疎通はままならなかった。

 日本が七月以降、韓国に対して、半導体材料三品目の輸出規制強化や輸出管理の優遇対象国からの除外を決定すると、韓国は一層反発。河野氏は今月二十一日に北京で韓国の康京和(カンギョンファ)外相と会談した後、安全保障に直結する協定の継続については「大丈夫だとの感触を得た」と周辺に語ったが、その言葉は外れた。

 日韓外交筋は「大統領府は韓国外務省を軽視し、危機感が伝わらない」と漏らす。

 日韓の防衛当局間のパイプも生かされなかった。

 岩屋毅防衛相は六月、韓国海軍艦船による自衛隊機への火器管制レーダー照射問題や元徴用工問題で日韓関係が冷え込む中、韓国の鄭景斗(チョンギョンドゥ)国防相とシンガポールで会談。日本国内から「弱腰」との異論が出ても、対話の窓口を閉ざすことは避けてきた。

 日韓間の防衛当局間でも、情報交換や共同訓練などを通じて緊密な連携を維持。岩屋氏は二十三日、記者団に「再三にわたり(協定を)『継続すべきだ』と韓国に伝えており、私どもの意思は十分伝わっていた」と強調したが、韓国政府の決定は協定破棄だった。

 政府の関係がぎくしゃくした時に緩衝材となるべき議員外交も機能不全に陥っている。七月末には日韓の超党派の議員連盟同士、今月二十日には自民党国会議員と韓国の元国会議員らが東京での会合で意見交換したが、各国政府の立場を繰り返すだけにとどまった。

 故金大中(キムデジュン)元大統領の最側近だった国会議員の朴智元(パクチウォン)氏も来日し、大阪で自民党の二階俊博幹事長らと非公表で会談。日韓のチャンネルをフル活用したが、関係改善の糸口はつかめなかった。

 与党内には「議員外交などで最大限努力していく姿勢は大事」(自民党の岸田文雄政調会長)との声もあるが、日韓、韓日両議連は二十三日、東京で九月に予定していた合同総会を延期すると決定。日韓議連の河村建夫幹事長は「これから日韓関係を切り開く道が大変だ」と嘆く。

 

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