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【政治】

<どうなる年金 読み解き財政検証>(上)82歳以降 生涯総額プラス 70歳に受給繰り下げた時

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 年金は大きく分けて二種類ある。二十歳から六十歳になるまで全ての人が加入する国民年金と、会社員や公務員が加入する厚生年金だ。年金を受け取るには、十年以上の加入期間が必要で、原則として六十五歳から受け取り始めるが、受給開始年齢は六十〜七十歳の間で選べる。六十五歳から受け取る場合と、受給を早めたり遅らせたりした場合を比べると、生涯の年金額はどちらが多いのか。

 六十五歳よりも前に受け取る「繰り上げ受給」の場合、本来受け取る額よりも一カ月当たり0・5%減額される。六十歳に繰り上げた場合は六十カ月分の合計で30%減る。現在の国民年金の月額に当てはめれば、満額の約六万五千円が約四万五千円になる計算だ。七十六歳八カ月を超えると、六十五歳から受け取る方が総額は多くなる。

 一方、六十六〜七十歳の間に受け取り開始を遅らせる「繰り下げ受給」を選んだ場合は、受給が一カ月当たり0・7%増える。七十歳に繰り下げた場合は42%増額される。国民年金の月額に当てはめれば、約九万二千円に膨らむ。八十一歳十一カ月を超えれば、六十五歳から受け取った場合の総額を上回る。

 厚生労働省によると、日本人の平均寿命(二〇一八年)は、男性八一・二五歳、女性八七・三二歳。男性の場合、平均寿命より少し長生きすれば、七十歳から受け取る方が有利になる計算だ。

 ただ年金受給者の中で、七十歳からの受け取りを選択した人(一七年度)は、国民年金が受給者全体の約1・5%の約四千人、厚生年金が1・2%の約二万一千人にすぎない。七十歳まで働くことを希望する人の雇用が法律で企業に義務付けられていないことが一因とみられる。

 今回の財政検証は、受給開始をさらに繰り下げ、七十五歳とした場合も試算した。経済成長が標準的なケースでは、六十五歳から年金を受け取ると、現役世代の手取り平均収入の半分程度の水準にとどまるが、七十五歳まで働いてから年金を受け取ると、現役世代の収入に迫る水準まで上昇すると見込んでいる。

 ◇ 

 厚労省が公表した公的年金の財政検証では、目減りする年金を増やすための政府の検討案も示された。受給開始年齢の繰り下げやパート労働者らの厚生年金への加入拡大など、検証が示した将来の年金の姿を読み解く。(この連載は村上一樹が担当します)

 

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