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【政治】

<どうなる年金 読み解き財政検証>(下)同賃金なら受給額は同じ 単身・共働き、世帯の型が違っても

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 財政検証は、公的年金が今後百年間、持続可能かどうかをチェックするのが目的だ。高齢者が六十五歳で年金を受け取り始める際、その時点の現役世代の平均手取り収入に比べ、受け取る年金額の割合を示す「所得代替率」を計算する。これは、自身の現役時代の収入に対する比率ではない。

 政府は二〇〇四年の年金制度改革で、六十五歳に受け取る年金の所得代替率は50%を確保することを法律に明記し、給付水準維持の目標に定めた。

 代替率の説明には「モデル世帯」という仮想の受給者が用いられる。「夫は平均賃金で四十年間厚生年金に加入し、妻は二十歳から六十歳まで専業主婦で国民年金にのみ加入」した世帯を想定している。

 現在は晩婚化も進み、共働き夫婦や単身世帯も増えている。「モデル世帯ではなく、自分の現在の収入を基に、将来の年金額を知りたい」という意見もある。

 厚生労働省によると、共働きや単身などの世帯類型の違いにかかわらず、一人当たりの賃金水準が同じであれば、年金月額や所得代替率は同じだという。

 例えば(1)夫の賃金四十万円、妻は賃金ゼロ(2)共働きで夫婦それぞれ賃金二十万円(3)単身世帯で賃金二十万円−の場合、いずれも一人分の年金月額、所得代替率は同じになる。

 モデル世帯の年金額を巡っては、財政検証で世代別の試算も示された。

 一九年度に六十五歳の世帯は、年金月額は二十二万円で所得代替率は61・7%。これに対し、標準的な経済成長率0・4%で推移した場合、現在三十七歳の世帯が四七年度に受け取り始める年金月額は、二十四万円と試算された。

 ただ、年金額の伸びを賃金や物価の伸びよりも抑える「マクロ経済スライド」という仕組みがあるため、所得代替率は50・8%となり、実質的な水準は減る。

 現在三十代半ばから四十代半ばの世代は、就職氷河期に直面し、雇用が不安定な人も多い。秋から社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会が始める年金制度改革の議論では、モデル世帯だけでなく、非正規雇用で働く人たちにも将来の年金の展望を示す必要がある。 (この連載は村上一樹が担当しました)

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