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【政治】

改憲議論 与野党に促す 首相所信表明 景気「十二分の対策」

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 第二百臨時国会が四日召集された。安倍晋三首相は午後の衆院本会議で所信表明演説を行い、改憲について「国会議員がしっかりと議論し、国民への責任を果たそう」と与野党に審議を促す。消費税増税が景気に与える影響を注視し、国内消費の下支えに「十二分の対策」を講じると表明する。全世代型社会保障改革に取り組む姿勢も説明する。 (中根政人)

 首相は「令和の時代に日本がどのような国を目指すのか。その理想を議論すべき場こそ憲法審査会ではないか」と指摘する。在任中の改憲を目指しているが、各党に議論を迫るような表現は避ける。野党の反発で改憲論議が停滞しないようにする狙いだとみられる。

 演説に先立つ自民党両院議員総会では「令和の時代にふさわしい憲法の在り方について議論を始めよう」と呼び掛けた。

 首相は演説で経済に関し「下振れリスクが顕在化する場合は機動的かつ万全の対策を講じる」と強調。消費税率10%への引き上げによる影響については、軽減税率制度や自動車、住宅への減税で「経済の好循環を確保していく」と述べる。

 日米両首脳が最終合意した貿易協定を巡っては「農家の不安にしっかり向き合い、十分な対策を講じる」と表明。中部地方を中心に感染が拡大した豚コレラに関しては「ワクチン接種をはじめ、あらゆる対策を総動員し、一刻も早い終息に努める」と語る。

 全世代型社会保障改革については、七十歳までの就業機会の確保や非正規労働者への厚生年金の適用拡大を進める意向を示す。

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の舩後(ふなご)靖彦参院議員(れいわ新選組)の初当選に祝意を示し「障害や難病のある方々が、個性を発揮し、生き生きと活躍できる時代をつくり上げる」と訴える。

 北朝鮮問題では、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との会談に引き続き意欲を示す。弾道ミサイルが二日に日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾したことを踏まえ「米国と緊密に連携し、国民の安全確保に万全を期す」と強調する。

 韓国に対しては「重要な隣国」と位置付けつつ「国と国との約束を順守することを求めたい」と述べる。

 米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設に伴う名護市辺野古(へのこ)への新基地建設は進める方針を示す。

◆「新時代」連呼 課題素通り

<解説>

 安倍晋三首相は改元後初めてとなる所信表明演説で「令和を迎えた今こそ、新しい国造りを進める時」と決意を表明する。社会保障や年金を巡る国民の将来不安は語らず、希望に満ちた未来に向けた政権の取り組みを列挙する。

 演説では「新しい令和の時代にふさわしい、希望にあふれ、誇りある日本をつくり上げる」などと「令和」を九回連呼。幼児教育・保育の無償化や将来の年金給付水準の改善、外国人観光客の増加による地方経済の活性化を政権の実績として掲げる。

 「不都合な真実」には向き合わない。老後に夫婦で約二千万円の蓄えが必要と試算した金融庁報告書には言及しない。全世代型社会保障改革に挑戦すると訴えながら、将来の負担増、給付減という課題は素通りする。

 韓国との関係悪化で訪日観光客が急減し、深刻な影響を受けている地方経済の実情にも触れない。

 通算在職日数が十一月に歴代最長となる首相に求められるのは、長期政権の慢心や独り善がりを排し、政権運営の負の側面も真正面から語ることだ。日々の生活や将来に不安を抱える国民に寄り添う姿勢がなければ、ばら色の未来や理想を訴えても幅広い共感は得られない。 

  (後藤孝好)

 

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