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【政治】

桜を見る会「毎年予算オーバー」の“裏側”

「桜を見る会」で招待客に囲まれる安倍首相

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 安倍晋三首相主催の「桜を見る会」の予算と支出の推移がおかしい。予算は毎年同額なのに、支出はその一・七〜三倍まで増え、毎年大赤字。それを別の財源でこっそり賄っていた。「こちら特報部」は四月に大幅な費用増を報じていたが、その後の国会質問などで判明した招待客の「首相枠」問題などを重ねると、なぜこんな異常な推移になっていたかが透けて見える。(稲垣太郎)

◆安倍首相らの招待枠大幅増で支出も拡大

 桜を見る会の予算額は、安倍政権下で行われるようになった二〇一三年度に千七百十八万円、それ以降は一九年度も含め千七百六十六万円で固定されている。

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 一方、支出はずっと右肩上がりで、毎年予算オーバーしている。一四年度は三〇〇五万円で予算の一・七倍。一五年度は三千八百四十一万円で二倍超え。一八年度に五千二百二十九万円で同三倍になった。一九年度は五千五百十九万円。

 「超過支出禁止の原則」という財政規律の基本中の基本を無視した推移だ。桜を見る会の膨張ぶりを報じた特報部の四月十六日付記事を読んだ宮本徹衆院議員(共産党)が、五月の衆院決算行政監視委員会で質問し、こうした数字を引き出した。

「桜を見る会」疑惑について報じた4月16日の東京新聞朝刊特報面

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◆「色」のない財源を流用

 では、予算オーバー分はどう賄っていたのか。「(超えた分について)これはどこからお金が出てきているのか」という宮本氏の質問に対し、井野靖久・内閣府大臣官房長は「内閣府本府の一般共通経費を活用することにより経費を確保している」と答弁した。一般共通経費とは、内閣府のさまざまな行政執行に使える財源で、いわゆる「色」のついていないカネだ。

 宮本氏が「予算は国会で審議して承認しているのに、その予算を無視して大きく上回る支出を行っているのでは審議や承認の意味がなくなる。財政民主主義の根幹が崩れている」と指摘するのももっともだ。毎年予算不足なら予算を増やすか、支出を予算に合わせて減らすのが普通だろう。なぜ内閣府は、その「普通」をしてこなかったのか。内閣府に取材を申し入れたが「担当者が全員外出している」として答えなかった。

◆隠れて処理しようとした?

 大蔵省(現財務省)や内閣府などの官僚経験のある明治大公共政策大学院の田中秀明教授(財政学)は、超過支出禁止の原則は当然で、「一般共通経費を流用して超過分を賄うのは違法ではないが、毎年繰り返すのは不適切」とした上で、こう語る。

 「(首相官邸直結の)内閣人事局に完全に人事を握られているから、首相主催の『桜を見る会』の参加者が増えたからといって、内閣府の役人が支出を絞れとは言えない。でも後ろめたいから予算は増やさず、上回った支出は一般共通経費を使って隠れて処理しようとしたのではないか」と話す。

◆飲食物受注の「お友達業者」にもおいしい構造

 問題はこれにとどまらない。一三年度以降、会の飲食物提供を一手に受注してきた会社「ジェーシー・コムサ」の経営者は、安倍首相夫妻と近しい関係にあるといわれる。安倍首相が思いのままに参加者を増やせばその分、同社の受注額が増える「おいしい構造」で、こうしたことを隠すためにも、表面上の予算額を抑えてきたのではないかとの疑念も湧く。

「桜を見る会」の会場を足早に移動する安倍首相。この健脚で疑惑追及から逃げ切るつもり?=東京・新宿御苑で

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◆安倍政権の人事報復で官僚は「自動忖度」

 元経済産業省官僚の古賀茂明氏は、同省の予算取りまとめの経験から、「以前は、『この業者は首相のお友だちではないか』と警戒したものだが、今は真逆になっている」と嘆く。その上で、こう語った。

 「安倍政権の人事的報復と、辞めた後でも執拗に行われる嫌がらせにより、官僚たちは安倍首相が何も言わなくても『自動忖度』するようになった。会の支出の超過分を一般共通経費で賄うのも、首相夫婦に近い業者を使うのもその一例だ」

 

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