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【政治】

<こうなる2020>(2)社会保障 医療費2割 線引き攻防

 社会保障を巡る最大の焦点は、七十五歳以上の後期高齢者が支払う医療費の窓口負担引き上げだ。政府は一定以上の所得がある人の負担を、二〇二二年度初めに現在の原則一割から二割に引き上げる方針だが「一定の所得」の金額の線引きは未定だ。政府が基準額の結論を出す六月まで、政府・与党内での激しいせめぎ合いが予想される。

 「一定所得以上の方については医療費の窓口負担割合を二割とし、現役世代の負担上昇を抑えながら全ての世代が安心できる制度を構築する」

 安倍晋三首相は昨年十二月十九日、自身が議長を務める全世代型社会保障検討会議の中間報告取りまとめの際、七十五歳以上の医療費負担増を明言した。

 首相は昨年九月の内閣改造で、全世代型社会保障を看板政策に掲げ「子どもからお年寄りまで全ての世代が安心できる新しい社会保障制度のあり方を大胆に構想していく」と宣言。少子高齢化を踏まえ、給付と負担を見直す姿勢を示した。

 勢いを得たのが、財政規律を重視する財務省だ。七十五歳以上の窓口負担は、現役並み所得(単身世帯で年収三百八十三万円以上)がある人は三割、その他の90%以上の人は一割だ。同省はこの割合の二割への引き上げを求めた。麻生太郎副総理兼財務相は昨年十一月の検討会議で、引き上げについて「先送りせず結論を出すべきだ」と迫った。

 ブレーキをかけたのは、高齢者の反発を不安視する与党と厚生労働省。与党には、引き上げが選挙にマイナスになるとの懸念がある。

 公明党の山口那津男代表は、先月の記者会見で窓口負担について「原則一割を大きく変えることにはならない」と明言。今回の社会保障制度の見直しに関する自民党の提言も「二割」の文字は盛り込まず、公明の提言は「原則一割負担を基本」と記した。

 加藤勝信厚労相も「国民生活への影響を見極めながら進める必要がある」と、慎重姿勢を崩さなかった。

 最終的に、政府の中間報告は「一定以上の所得がある場合は二割とし、それ以外は一割」と記し、いずれも「原則」と読める書きぶりとなった。政府が結論を出す六月まで難しい調整が続きそうだ。

 これ以外の社会保障制度見直しについては、政府は今月召集の通常国会に関連法案を提出する。働く高齢者を増やし、社会保障を支えてもらうため、企業に七十歳までの就業確保に向けた努力義務を課すことなどが柱だ。 (村上一樹)

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