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【政治】

<2020年 核廃絶の「期限」>核保有国増 続く緊張 兵器数1/5に減でも1万3000発

 広島、長崎への原爆投下から、二〇二〇年で七十五年。世界の核兵器の数は、冷戦時の五分の一ほどに減少しているが、保有国は増加し、核弾頭の小型化も進む。北朝鮮も核実験の再開を示唆し、核を巡る緊張は高まる。日本は米の「核の傘」を重視し、核廃絶に決して積極的ではなく、被爆国としての責任を果たしていない。

 米ソは冷戦時に核開発を急速に進め、一九八六年には世界全体で七万発超があった。しかし、冷戦終結やソ連崩壊で総保有数は減少。一九年段階では一万三千発へと減少した。

 核拡散防止条約(NPT)は、米ロ英仏中の五カ国を核保有国と位置付ける。だが、未加盟のインド、パキスタン、イスラエルは事実上の保有国に。〇三年にNPT脱退を表明した北朝鮮も核実験を重ねてきた。

 トランプ米政権は一八年に発表した新たな核戦略指針で、爆発力を抑えた使いやすい小型核の開発を明記。通常兵器に対する反撃にも核兵器の使用を排除しない方針を示した。

 米ロは、中距離核戦力(INF)廃棄条約で地上発射型の中・短距離ミサイルの保有や製造、発射実験を禁止していたが、条約は昨年八月に失効。世界の核兵器の九割を持つ両国の核軍備管理体制は弱まった。

 非核化を巡る米朝協議が進まない中、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は昨年末の党中央委員会総会で核実験の再開を示唆。イランは今月五日、核合意を破り、核兵器の原料となるウラン濃縮活動の制限を撤廃すると発表した。

 国連は一七年、核兵器禁止条約を採択した。核兵器の開発や実験、生産、製造、使用、保有のほか核抑止の根幹をなす「使用するとの威嚇」も禁じる内容。発効には五十カ国・地域の批准が必要だが、現在三十四カ国が批准し、二〇年中にも発効する可能性がある。

 今春には、五年に一度のNPT再検討会議が行われる。NPTは核保有国に軍縮を義務付けているが、非保有国との溝は深まり、一五年の前回は決裂。今年の会議も楽観を許さない。

 日本は、核保有国と非保有国の「橋渡し役」を自任するが、核禁条約には「現実の安全保障の観点を踏まえずに作成された」として反対の立場。国連総会に毎年提出していた核兵器廃絶決議案も、核使用による壊滅的な人道上の結末に関する表現を、従来の「深い懸念」から、一九年は「認識する」へと弱めた。米国への配慮を強める日本の姿勢に被爆者は反発している。

 核軍縮に詳しい明治学院大国際平和研究所長の高原孝生教授(平和研究)は「核戦争の可能性はリアルになっている」と指摘。「核禁条約の早期発効で、一刻も早く核を使わせない状況をつくるべきだ」と話す。 (関口克己)

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