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【政治】

<2020年 核廃絶の「期限」>核なき世界 平和五輪への思い

 2020年は広島市、長崎市が核廃絶の目標期限に定めた年に当たる。「広島・長崎オリンピック構想」発表当時に市長だった秋葉忠利、田上富久両氏に五輪構想や核なき世界への思いを聞いた。 (聞き手・木谷孝洋、北條香子)

◆広島・秋葉忠利前市長 平和の祭典に回帰、提起

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 −広島・長崎オリンピック構想の背景は。

 「二〇二〇年という節目の年に向け、構想を打ち出すことで平和首長会議の活動が活発になる。世界の都市が協力し、核廃絶運動を大きな動きにするための新しい要素として提案した」

 −広島市に再び五輪招致してほしい思いはあるか。

 「近代五輪は商業主義や国家の威信のために利用されるなど、不健全さも抱える。影響力が大きい広島・長崎から、本来の理念である平和の祭典に戻れと問題提起することが大事だ」

 −核廃絶の期限とした二〇年を迎えたが、核を巡る世界の状況は厳しい。

 「長期的に見れば、世界は平和、非暴力の方向に動いている。近い将来、核兵器禁止条約は効力を持つようになるだろうし、核兵器も廃絶されると思う。そのための土壌はできている」

 −日本政府は核禁条約に反対している。

 「唯一の戦争被爆国には重みがある。日本が先頭に立って世界的なキャンペーンを始めれば大きな力になる。核禁条約は、日本から外に向かった草の根の運動でできた。今度は運動のベクトルを内に向けて、政府の施策を百八十度変える大運動をしないといけない」

<あきば・ただとし> 1942年、東京都出身。東大理学部卒。広島修道大教授を経て、90年衆院選で初当選し、3期務める。99年から広島市長を3期歴任。原水爆禁止広島県協議会代表委員。

◆長崎・田上富久市長 被爆体験継承し、行動を

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 −広島・長崎オリンピック構想に込めた思いは。

 「二〇二〇年は、被爆者が存命のうちに核廃絶したいという目標年。五輪構想には、被爆地ができることを最大限やるという思いがあった。非常に大きなチャレンジだった」

 −核を巡る厳しい情勢は変わっていない。

 「核兵器が使われる可能性が高まっており、非常に危険な状況にあると思う。一方で、核を持たない小さな国が集まって核兵器禁止条約を国連で採択させたことは画期的なことだ。混迷の時代だからこそ原点を確かめることが大事だ」

 −原点とは。

 「被爆の実相に触れて、二度と繰り返してはいけないということだ。被爆者が語り継いできたからこそ、三度目の核兵器が使われないことの大きな力になった。被爆者がいる時代の終わりにいることを認識し、被爆体験を受け継がなくてはいけない」

 −昨秋には、ローマ教皇が長崎と広島を訪問した。

 「教皇は全員が責任を持ち、参加しないと核廃絶は実現しないと訴えた。『核兵器はいらない』と市民社会が動くことが重要。市民社会が動かないと、政府を動かすことは難しい」

<たうえ・とみひさ> 1956年、長崎県五島市出身。九州大法学部卒。80年、長崎市役所。統計課長などを経て、2007年の市長選で初当選。現在4期目。平和首長会議副会長。

 

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