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【政治】

首相、復興五輪成功を強調 施政方針演説 「桜」「IR汚職」に言及せず

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 第二百一通常国会が二十日召集され、安倍晋三首相は衆院本会議で施政方針演説を行う。冒頭で東京五輪・パラリンピックに触れて東日本大震災からの「復興五輪」として成功させようと呼び掛ける。改憲は各党に具体案の提示を求め、衆参両院の憲法審査会での議論を促す。重要課題とする「全世代型社会保障制度」の実現に向けて、年金、医療、介護の改革を実行すると表明する。(中根政人)

 首相自身が地元支援者らを多数招待して「私物化」と批判を浴びた「桜を見る会」の疑惑や、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)に絡む汚職事件には言及しない。政府が国会から早急な検討を求められている安定的な皇位継承の在り方にも触れない。

 東京五輪・パラリンピックについて「日本全体が力を合わせて、世界中に感動を与える最高の大会とする」と強調。

 東京電力福島第一原発事故により一部区間で運休していたJR常磐線が三月に全線の運行を再開することや、被災地での外国人観光客増などを挙げ、「力強く復興しつつある被災地の姿を実感していただきたい」と訴える。

 悲願とする改憲に関しては「未来に向かってどのような国を目指すのか。その案を示すのは、私たち国会議員の責任ではないか」と主張。成長戦略に位置付けるIR政策は「カジノ」や「IR」といった言葉を使わず、「高い独立性を持った管理委員会の下、厳正かつ公平・公正な審査を行いながら、複合観光施設の整備に取り組む」と語る。

 全世代型社会保障改革では、年金受給開始年齢を選べる上限を七十五歳に広げると強調。一定の収入がある七十五歳以上の高齢者が病院の窓口で払う自己負担を二割に引き上げる検討を進めると述べる。

 外交では、韓国について「元来、基本的価値と戦略的利益を共有する最も重要な隣国だ」と指摘。「国と国の約束を守り、未来志向の両国関係を築き上げることを期待する」と関係改善の必要性を訴える。

 北朝鮮による日本人拉致問題の解決に向け、日朝首脳会談の実現に重ねて意欲を示す。

 沖縄県の米軍基地問題では、普天間(ふてんま)飛行場の移設に伴う名護市辺野古(へのこ)への新基地建設には直接触れず、「基地負担軽減に一つ一つ結果を出す」と述べるにとどめる。自衛隊の中東派遣については「情報収集態勢を整え、日本関係船舶の安全を確保する」と意義を訴える。

◆疑念説明なし 「夢」を連呼

<解説> 安倍晋三首相は二十日の施政方針演説で、東京五輪・パラリンピックや令和の新時代への期待感を繰り返す一方、首相主催の「桜を見る会」の疑惑や、カジノを含む統合型リゾート(IR)事業を巡る元内閣府副大臣らの汚職事件には触れず、都合の悪い事実を直視しない姿勢が際立つ。

 演説で語らない理由について、政府は「桜を見る会を中止して予算計上していない。捜査中の事件のコメントは控えたい」(西村明宏官房副長官)などと説明。重なる不祥事を覆い隠すかのように、五輪・パラの話題を随所に盛り込んで「夢」や「希望」を強調し、「国民一丸となって新しい時代へと踏み出していこう」と呼び掛ける。

 しかし、歴代最長となった長期政権のおごりや緩みが招いた懸案に対し、国民は疑念を募らせる。共同通信の世論調査で、桜を見る会の疑惑を巡り、首相が「十分説明していると思わない」とする回答は86・4%。汚職事件を受けて70・6%がIR整備を「見直すべきだ」と答えている。

 「夢や希望」を連呼し、自説を言い募るだけでは国民の理解は得られない。批判にも真摯(しんし)に向き合い、説明責任を尽くす謙虚な姿勢を取り戻さなければ政治不信は高まる一方だ。 (後藤孝好)

 

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