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【埼玉】

古利根川流域の伝説や砂丘に思いはせて 羽生市職員が郷土歴史書を出版

「古利根川奇譚」を手にする高鳥さん=羽生市で

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 羽生市職員の高鳥邦仁さん(39)が、同市から杉戸町までの古利根川流域の歴史を考察する「埼玉ヒストリア探訪 古利根川奇譚(きたん)」(まつやま書房)を出版した。自身の幼少期などのエピソードを交え、古利根川にまつわる伝説や河川の周囲に形成された砂丘を紹介。「本を読んで興味を持ち、目に触れていただければうれしい」と話している。 (中西公一)

 高鳥さんは羽生市生まれで、現在は市教育委員会の生涯学習課文化財保護係。これまで郷土の歴史を研究し、古墳や城跡を紹介する書籍を著している。

 本書で取り上げたのは、獅子頭やみこしなど漂着物を祭った「漂着伝説」▽決壊した堤防を修復する際に人柱を立てることで川を鎮めて工事の無事を祈ったとされる「人柱伝説」▽川が運んだ土砂や季節風でつくられた「河畔砂丘」。

 全三十四編で、「栗橋八坂神社」(久喜市)や「不動尊」(加須市)、「いちっ子地蔵」(同)、「高野砂丘」(杉戸町)などの社寺や史跡を収録。

 漂着伝説が残る「熊野白山合殿社」(加須市)は戦国時代、仏像などの漂着がきっかけで創建されたのではなく、羽生城主の政治的・軍事的な意図に基づき、諜報(ちょうほう)の拠点として設けられたと考察する。自宅近くの「須影河畔砂丘」(羽生市)では、小学生のころに「秘密基地」をつくって多くの時間を過ごしたという。

 古利根川は暴れ川・利根川の旧流路だ。高鳥さんによると、本書で対象にした漂着伝説はほとんどが「大水(洪水)」によって流れ着いたという内容で、大水の恐ろしさも伝えている。さらに、史実の有無が定かではなく、大水や「巡礼の母娘」が登場するなど似た話が多い人柱伝説も地域の人々が共有する「物語」で、背景には利根川への恐れや大水で犠牲になった人々への鎮魂、災いを語り継ぐ要素があったと推測する。

 高鳥さんは「今は穏やかに見える川でも、昔は川との闘いや共存といった歴史があって、人々の思いなども伝説に含まれている。そういうところに思いをはせながら読んでほしい」としている。

 A5判、二百五十七ページで千六百円(税別)。問い合わせは、まつやま書房=電0493(22)4162=へ。

 

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