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【埼玉】

<ひと物語>「面白そう」が原動力 ソルトリーフ栽培に挑戦・金井栄さん

ソルトリーフの手入れをする金井さん=いずれも本庄市で

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 上里町と隣接の本庄市の畑で農業を営む金井栄さん(61)が栽培している「ソルトリーフ」という葉野菜をご存じだろうか。

 レタスやホウレンソウ、ハクサイなど他の葉野菜とは違ったプチプチとした独特の食感が特徴で、その名の通り、ほんのりと塩味がする。塩を囲うための「ブラッダー細胞」と呼ばれる水滴のようなつぶつぶが葉や茎の表皮に現れ、葉が凍ったように見えるため正式には「アイスプラント」と呼ばれる。

 日本では珍しいが、欧州の沿岸部などでは自生しており、つぶつぶがキラキラと光って見た目が美しいことなどからクリスマスの食卓などに並ぶという。

 「甘いとか辛いとかいう野菜はあるけど、しょっぱいという野菜は聞いたことがないでしょ。だから面白そうだなと思って」。挑戦した理由を尋ねると、そう無邪気に笑った。

 本庄市のハウスにずらりと並んだソルトリーフは約三千株。出荷の時期は十二月〜翌年三月の主に冬場で、今年はまだ収穫に至っていない。余分な葉を丁寧に取り除いて全体に太陽光が当たるように手入れをしていく。やわらかい若葉の部分のみ収穫するという。

 試食で数枚口に含むと、なるほどほんのりと塩が利いていて、うまい。「塩味はもちろんだけど、何といっても食感だよね」と金井さん。「サラダで食べてもらうと、レタスやキュウリ、ホウレンソウなど他の野菜にはないプチプチとした食感を楽しんでもらえるはず」

 葉野菜にありがちなえぐみが全くないのも、工夫の一つと金井さんは胸を張る。ソルトリーフは土で育てると、土中から重金属類を吸って、葉に独特のえぐみが出てしまうという。そこで、もみ殻を炭化させた「薫炭(くんたん)」を用いている。0・1〜0・5%の食塩水を作って与える。

ソルトリーフ。茎の部分に見える水滴のようなツブツブで塩味がする

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 十五年前から挑戦しているソルトリーフの栽培。試行錯誤の末、「ここ十年でようやく軌道に乗ってきた」と言う。

 さらに苦労話を聞こうとすると、「そんな大げさなものじゃない。ただ、ジタバタしているだけですよ」と自嘲気味に笑ってはぐらかされた。

 ただ、「楽しいと思っていることは、きっとうまくいく。それは間違いないと思っている」と真顔に戻った。「作付けする、そして成長する。野菜が育っていくのを見ているとかわいいとさえ思う」

 「目標? 百歳まで農業を続けることかな」と豪快に笑った。(渡部穣)

<かない・さかえ> 上里町出身。同町と本庄市の畑と四つのハウスで、ブロッコリーやキュウリ、トマトなどを育てる。ソルトリーフと同じ塩水でトマトをハウス栽培したところ塩味が利いて好評で、「塩トマト」として来年、5年ぶりに販売予定。問い合わせはJA埼玉ひびきの「アグリパーク上里」=電0495(33)6871=へ。

 

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