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【埼玉】

<ひと物語>「一生に一度」感謝して 射撃で東京五輪出場目指す和光市職員・塚田恵美さん

「東京五輪を目指して練習に励みたい」と話す塚田さん=いずれも和光市役所で

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 「引き金を引いてすぐ顔を上げると銃が動くよ」

 「(的中央の)黒点を見続けると(目がかすんで)白っぽくなるから、ひと呼吸置いてみて」

 十一月に和光市役所で開かれたビームライフル教室。市職員でライフル射撃選手でもある塚田恵美さん(25)の的確なアドバイスを受けた子どもたちの撃ち込むビームが、十メートル先の黒点を射抜くと、会場がわっと歓声に包まれた。

 「射撃はメンタルが重要な競技。緊張感が高まる中で自分をコントロールし、良い結果を出せた時、大きな達成感を覚えます」と塚田さん。「この教室を通じて射撃の楽しさを感じ、自分も選手にと思い立つお子さんが出ればうれしい」と表情を和らげた。

 競技との出合いは高校入学後、同級生の誘いで射撃部に仮入部した時だった。「それまで取り組んできた球技とは全く違った。常に高いところを目指している部の雰囲気も新鮮。『これだ』と直感した」

 高校、大学と実績を積んだが、二〇一六年四月に福島県が拠点の大手スポーツ用品店に就職。最寄りに練習場はなく、射撃との縁は途切れたかに思われた。

 だが、二〇年東京五輪で射撃競技の会場となり、一七年末にアジア・エアガン選手権開催を控えていた和光市が、競技の分かる人材として白羽の矢を立てた。一七年に転職して市役所に入り、秘書広報課で広報対応や射撃競技の周知活動などを担っている。

 市は今年十月から、火曜と木曜の午後を練習時間に充ててくれた。

 「競技の開催都市に勤務しながら五輪出場を目指す機会は、一生に一度あるかないか。選手としての私を支えてくれる方々や市に感謝しながら、五輪を目指して練習に励んでいきたい」

 五輪出場は、日本ランキング上位十五人による予選で決まる。塚田さんがエントリーするのは、圧縮空気の力で発射する十メートルエアライフルと、火薬を利用する五十メートルスモールボアライフル。ともに上位に入るため、週末は愛銃を抱え、ランキングポイントを稼げる各地の大会を飛び回る。

 「進学、就職、転職…。選手をやめていたかもしれない分岐点は何度もあった」と振り返る。続けて来られたのは「まだ記録を伸ばせる」という思いと、父と母の温かいまなざしがあったからだ。

 「両親はいつでも私の判断を快く受け入れ、全力でサポートすると言ってくれた。家族は私の一番の応援団です」 (加藤木信夫)

<つかだ・えみ> さいたま市生まれ。栄北高校(伊奈町)で射撃競技を始め、3年時に全国選手権で団体優勝を果たし、ジュニア日本代表に選出された。早稲田大スポーツ科学部へ進学し、全日本学生選手権での団体優勝に貢献した。卒業後、大手スポーツ用品メーカーを経て、2017年1月に和光市役所に入庁した。

ビームライフル教室で、構え方などを子どもらに教える塚田さん

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