東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 埼玉 > 記事一覧 > 1月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【埼玉】

<彩の国 流転 平成いま・むかし> ジョンソンタウン(入間市)

リフォームされた米軍ハウス(左)。手前の樹木も大きく成長した=入間市で

写真

 雨水が汚水槽まで逆流して敷地内にあふれ出す。家屋の柱や土台は腐食している。「こんな物を人様に貸して、良いのだろうか…」

 ジョンソンタウン(入間市)の管理会社「磯野商会」役員の磯野章雄さん(42)は一九九六(平成八)年に初めて現地を訪れた際のショックをこう振り返る。

平成初期のジョンソンタウン。左の米軍ハウス前の樹木の丈はまだ低い(磯野商会提供)

写真

 戦後に米軍の要請で築造された米軍ハウスは、築造当時は画期的だった水洗トイレやお湯の出る蛇口がある人気物件だった。

 しかし、七八年に米軍が撤退すると、荒廃の一途をたどる。戦前に日本陸軍の指示で建てられた日本家屋も放置されたままで、タウンは地域にとって、日米の軍隊が残した負の遺産となっていた。

 タウンの惨状を目の当たりにした磯野さんは「マンションへの建て替えも検討した」と明かす。だが、最終的には管理会社の社長で父の達雄さん(80)が「歴史に残る建物を残しながら、町づくりをすべきだ」と決断したという。

写真

 老朽化した日本家屋は、洋風の「平成ハウス」にリノベーション。米軍ハウスは骨組みを残して改修し、はがした外壁を内装や家具に転用してレトロ感を演出した。

 シンプルな家型、白ペンキの外観、緑豊かな芝生と樹木…。統一された街並みの中に、現在は七十九棟の建物が住居用とカフェや雑貨などの店舗用として賃貸されている。全国的な景観賞受賞などを契機にメディアへの露出も高まった。

 一方、観光地化で出入りする人が増え、不安に思う居住者も出てきた。街灯や防犯カメラの整備による防犯対策の推進が課題だ。

 もともと段差のない米軍ハウスの特性を生かし「お年寄りの入居を促し、多世代が交流できる空間をつくりたい」と磯野さん。

 街並みやデザインを継承しながら住環境の良さも追求。生まれ変わったジョンソンタウンは、これからも進化を続けていく。  (加藤木信夫)

<ジョンソンタウン> 入間市の国道463号沿いにある元米軍住居地域。米軍が最寄りのジョンソン基地(現在の航空自衛隊入間基地)から撤退後、日本人向けに賃貸された。所有・管理会社の磯野商会が、米国風のたたずまいを残す街並みとして再生し、2015年に都市景観大賞「都市空間部門」大賞受賞、17年に日本建築学会賞とキッズデザイン賞優秀賞(少子化対策大臣賞)を受賞した。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報