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【埼玉】

<彩の国 流転 平成いま・むかし> (7)綾瀬川

カヌーでごみを探す中島さん。ごみの量は減ってきたという=いずれも草加市で

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 石畳の遊歩道の両側に青々と茂る松並木。松尾芭蕉の「おくのほそ道」にも登場する草加宿北側に位置する草加松原は国の名勝だ。

 遊歩道脇を流れる綾瀬川が風情を添えるが、かつては水質が悪く、冷蔵庫やテレビも投げ捨てられるなど「日本一汚れた川」として知られていた。川を変えたのは、地元の名所を大切に思う住民らの熱意だった。

 「川にごみが散乱する状態では人に見せられない」

 草加市松江二の中島清治さん(71)が他の住民に呼び掛け、川の美化に取り組む団体「草加パドラーズ」を結成したのは二〇一四(平成二十六)年。草加松原の国名勝指定が後押しした。

 メンバー五十人の年齢層は六〜八十三歳と幅広い。カヌーで川に捨てられた空き缶や家庭ごみなどを網を使って拾って回る。活動を始めた当初は約二時間の清掃で、四十五リットルのごみ袋約三十袋が満杯になるほどだったが、今では七袋ほどに減ってきているという。

 メンバーで草加市立松江中学校一年の相原崚人(りくと)さん(12)は「ごみが減っていくのがうれしい。地元の名所だから、川の名誉を回復したい」と話す。

 綾瀬川は一九八〇〜九四年の十五年間にわたり、国土交通省の一級河川水質調査でワースト1。その後も大きな改善はみられず、平成時代の環境意識の高まりを受けた国交省が二〇〇三年から水質改善に乗り出した。地下水路を設けて荒川の水を綾瀬川の上流から放水し、きれいな水を増やして汚染度を薄めた。一四年には上流から下流で水質を測定している全八カ所で、目標の数値を達成。以前は見られなかった生物が確認されるようになるなど水質は良化している。

 それでも、中島さんは「昔は子どもたちが川で泳ぐなどして遊んでいた。まだまだ、そんな状況には程遠い。若者の力も借り、次の世紀には元の姿に近づけたい」と気を引き締める。

 官民連携で浄化が進む綾瀬川。一方、いまだに川にはごみが捨てられている。自然との共生の課題は、次の時代には解決されるだろうか。 (森雅貴)

  =おわり

水質改善後も、ごみの投棄が後を絶たなかった綾瀬川。冷蔵庫が捨てられていたこともある(2016年6月撮影。草加パドラーズ提供)

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