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【埼玉】

支給停止9年目「再開を」 埼玉朝鮮初中級学校 県補助金めぐる問題

勉強会で講演する中川准教授=さいたま市で

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 在日コリアンの子どもたちが通う「埼玉朝鮮初中級学校」(さいたま市大宮区)に対する県の補助金支給再開を求め、県内の大学教員らでつくる有志の会が活動を続けている。支給停止が二〇一八年度で九年目を迎えた中、県の対応を「北朝鮮の拉致問題と子どもの教育を受ける権利は関係なく、不当な差別だ」と批判。声明発表や県への働き掛けをしながら、勉強会の開催などを通じて問題の周知にも努めている。 (井上峻輔)

 「生徒たちは自分たちが埼玉人だと自覚しているのに、行政に差別をされて県を愛せるのか」

 昨年十二月にさいたま市内で有志の会が開いた勉強会で、埼玉朝鮮初中級学校の鄭勇銖(チョンヨンス)校長は訴えた。

 同校は日本の小中学校に相当する教育を行い、朝鮮にルーツを持つ約二百人が学んでいる。県は一九八二年度から補助金を出してきたが、二〇〇九年度の九百万円を最後に一〇年度以降は支給していない。鄭校長は「今の中学三年に当たる生徒は一度も県からの補助金をもらわずに学んで卒業していく」と語る。

昨年4月、県への声明提出後に会見する「有志の会」メンバーら=県庁で

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 上田清司知事は昨年の県議会六月定例会の一般質問での答弁で、補助金不支給の理由として、財務状況が適正でない▽「拉致問題が解決されるまでは予算執行を留保すべきだ」という県議会の付帯決議がある▽在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)と朝鮮学校の関係性が教育基本法で禁じる「不当な支配」に当たる懸念−の三点を挙げた。

 有志の会は、長年の不支給を問題視する県内の大学教員や市民団体関係者らが一七年十一月に結成。一八年四月に支給再開を求める声明を県に提出し、その後も県との交渉を続けている。

 十二月の勉強会では、不支給理由の一つとされる「不当な支配」について、会の共同代表で埼玉大教育学部の中川律准教授(憲法学・教育法学)が解説した。

 北朝鮮とつながりの深い民族団体「朝鮮総連」と朝鮮学校の関係について、中川准教授は「宗教系私立学校や民族学校が、設立経緯や理念と密接に関係する外部団体から影響を受けることは『不当な支配』に該当しない」と指摘。むしろ、行政がその関係を問題視して介入することが「不当な支配」に該当する疑いが強いとして、県の対応を「民族に基づく差別としか言えない」と批判した。

 有志の会は補助金再開を「差別のない埼玉をつくる一歩」ととらえ、今後も県への働き掛けを続けていくという。

 

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