東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 埼玉 > 記事一覧 > 1月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【埼玉】

<ひと物語>「次の一歩」お手伝い 県地域デビュー楽しみ隊員・高荷和久さん

「1人でも多くのカフェ参加者が夢を実現してほしい」と話す高荷さん=いずれもさいたま市で

写真

 「今までの自分を振り返ってみよう」。机を囲んだ初対面のシニア世代同士がこんなテーマで語り出す。最初は進め方に戸惑いながらも、徐々に打ち解けると、全員が今の興味や関心などの話に夢中になった。イベント名は「自分探しカフェ」。さいたま市内で二〇一七年から定期的に開かれるワークショップだ。

 「リタイアした人同士がこういう場を求めていると改めて気付いた。人生の次の一歩を見つけるお手伝いをしたい」。企画する県地域デビュー楽しみ隊の高荷和久さん(67)=同市=は手応えを話す。試行錯誤しながらも、過去五回で約六十人の参加者を集めた。

 定年退職後の元気な高齢者が、地域活動などに参加する「地域デビュー」を後押ししようと、県が「楽しみ隊」を結成したのは一七年。自らもリタイア直前で自分探しを始めていた中、偶然新聞の募集記事が目に留まり、応募して隊員に選ばれた。人材教育の仕事に長く携わった経験から、担当は「地域キャリア支援」。自分探しカフェは、その柱の活動となっている。

 「(退職後に)何かしたい思いはみんな持っているが、大半の人は行動に移せない。そういう人たちに手を差し伸べたい」。カフェに出席しない「大半の人」たちも常に意識。どうすれば、地域デビューの輪を外に広げられるか考える毎日だ。背景には自らの苦い実体験も影響している。

 ジャズが趣味のため、一年ほど前にジャズピアノの講座に参加した時のことだ。ピアノ経験はなく、譜面も読めなかったが、周囲は音楽経験者が多く、毎回緊張との闘いだったという。「できない人が新しいコミュニティーに参加する難しさを実感して勉強になった。その経験がカフェ運営にも生かされている」

 だから、興味があれば年齢に関係なく、その世界に飛び込んでほしいとの思いは強い。「ヒップホップだって高齢者がやってもいい。もっとシニア世代を元気にしたい」。カフェ終了後には交流会を開くなどして参加者同士の交流や相談にも気軽に乗っている。

 最近は県外でセカンドライフ支援講座の講師を務めることも。だが、活動の幅は広がっても自分探しカフェがライフワークなのは変わらない。

 「カフェのつながりで力をつけ、一人でも多くの参加者が夢を実現してほしい。そんな力になれたらうれしいし、それが私のゴールでしょうね」 (藤原哲也)

<たかに・かずひさ> さいたま市生まれ。大学卒業後に東京都内の百貨店で43年勤務。在職中にキャリアコンサルタントの資格を取得し、後半の17年ほどはスタッフ教育に携わる。2017年に県が公募して結成した地域デビュー楽しみ隊に参加。自主企画の「自分探しカフェ」を通じて、シニア世代の地域デビューを後押しする。

高荷さん(右奥)の呼び掛けで今後の生き方を語り合う「自分探しカフェ」の参加者たち(昨年9月24日撮影)

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報