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【埼玉】

旧鶴川座の保存断念 飲食、宿泊施設を構想 「昭和レトロの街」拠点に

長年、市民に親しまれてきた旧鶴川座。新たなにぎわい拠点に生まれ変わる構想が動きだした

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 明治時代に芝居小屋として建てられた川越市連雀町の「旧鶴川座」の保存活用が昨年、最終的に断念されたことが分かった。市や地元住民らが数年にわたって検討していた。今後は、飲食店や宿泊施設を備えた「昭和レトロ」のにぎわい拠点に生まれ変わらせる構想で、地元有志が会社を設立するなど関係者が動きだしている。(中里宏)

 旧鶴川座は、前身の芝居小屋が一八九三(明治二十六)年の川越大火で焼失し、九八年に再建された建物。その後、映画上映や芸能人の興行などに利用されたが、約二十年前に閉館した。雑貨店やライブハウスとして使われた時期もあったが、屋根や建物の傷みが激しく、ここ十年ほどは年に数回、建物前のスペースでイベントなどが開かれるだけになっていた。

 新築当初の外観は蔵造り風だったが、改修が繰り返され、現在は昭和の映画館風に。舞台下には、首都圏では唯一とされる明治期の回り舞台が遺構として残っている。

 二〇一四年から、地元商店主らが市や独立行政法人の支援を受け、利活用検討会をつくって保存を目指してきた。しかし、木造の集客施設として改修するには耐震、耐火工事などで費用がかかり過ぎることがネックになった。

 さらに、地元有志が二年間にわたり、大手興行会社に芝居小屋としての復活を持ちかけるなど復活の道を模索し続けたが、採算面で難航。この間にも建物の老朽化は進み、大雪になると危険なことなどから昨年、最終的に断念した。

 跡地利用として、土地所有者の「町の役に立つ施設を」との意向を受け、地元商店会「立門前(たつもんぜん)商栄会」の手島昌也会長(56)ら有志が出資して新会社を設立。にぎわい拠点となる「立門前ビル・旅籠(はたご)小江戸や(仮称)」を建設する構想が動きだした。

 構想では一階を飲食店テナント、二、三階を外国人客を意識したドミトリー(二段ベッドが並ぶ大部屋)方式の宿泊施設とし、屋上をイベントスペースにする考えだ。

 旧鶴川座近くの古刹(こさつ)・蓮馨(れんけい)寺などを中心に中央通り周辺では「昭和」の雰囲気を生かした街づくりが進む。西武線本川越駅から観光地の一番街通りに向かう中間点にあり、観光客の立ち寄り拠点が求められてきた地域でもある。また、川越観光では日帰り客が多く、夜の消費が少ないことが長年の課題となっている。

 手島さんは「計画として固まるのはまだこれから。建物は『昭和レトロ』な外観にしたい。地元の力で、市の中心市街地活性化や商店街の再生に役立つ形で進めたい」と話している。

2階席から見た旧鶴川座の内部。傷みが激しく床が抜けた部分もある(2012年10月撮影)=いずれも川越市で

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