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【埼玉】

<ひと物語>縄文の布に魅了され 「からむしの会」代表・名和稔子さん

「縄文時代の技法を考えると興味が尽きない」と話す名和さん=いずれも富士見市で

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 イラクサ科の多年生植物カラムシの繊維を編んだ「アンギン(編布)」、組みひも、かご…。これらは縄文時代から古代までの技法で作られた。制作したのは「からむしの会」。「一つのことを知ると、また次の課題が出てくる。興味がつきないです」。縄文時代の衣に魅了され、一九九七年に友人らと会をつくった代表の名和稔子さん(71)は話す。

 富士見市立水子貝塚資料館で開かれている「からむしの会展〜原始・古代の編む・織る・組む〜」には、会員の作品など約百点が並ぶ。

 名和さんと縄文時代との出合いは、三十年以上前にさかのぼる。小学四年生だった長男が学校の「郷土クラブ」で縄文土器作りに挑戦。粘土で作った土器をたき火で焼くと、割れてしまった。「一生懸命作ったのに」と悔しがる長男を見て、市立考古館(当時)友の会の「土器づくり部会」に長男と共に参加。長男が辞めた後も残り、縄文時代の生活の勉強を続けた。

 「どんな家に住み、どんなものを食べ、どんな調理法だったのかなどを勉強していったが、衣食住のうち『衣』だけがなかった」

 名和さんは、茨城県土浦市の考古資料館が開いたアンギン講座にも参加。その後、同館の「古代織研究会」に数年間、車で通ってアンギンや簡易な構造の機織り機「原始機(ばた)」を使った織物の技術を学んだ。

 「学んだことを役立てたい」と思った名和さんは、友人二人に声を掛け、三人で「からむしの会」を結成。最初はカラムシの繊維取りとアンギンの道具作りから取り組んだ。

 新潟県に伝わる「越後アンギン」を参考に、縦糸を通す溝を付けた桁(けた)を作成。糸巻きやおもりに使う「こも槌(づち)」も、知人の畑の境界に植えられたタニウツギの木を分けてもらい、手作りした。

 「縄文人はカラムシの収穫時期や、どの部分をどう取るといいかといった知識や技術を持っていたと思う。縄文のかごを編むと、当時の人は数の概念をどう考えていたんだろうと興味がわいてくる」と名和さん。

 現在、会員は十二人。東京都内から通う人もいる。アンギンだけでなく、楽しく続けるために原始機を使って色糸で模様を編み込んだり、指を使って編み込む組みひも作りに取り組んだりもしている。

 「アンギンを編んでいると、こも槌が触れ合うカラン、コロンという音に癒やされる。私たちは編み目の細かい『細密アンギン』の技術は持っていないので、いずれ挑戦してみたい」と次の目標を語った。 (中里宏)

<なわ・としこ> 志木市出身。1994年から陶芸も続ける。焼き物にも縄文土器風の模様を付けるので「名和さんの作品はすぐ分かる、と言われる」と笑う。「からむしの会展〜原始・古代の編む・織る・組む〜」は水子貝塚資料館で2月17日まで。問い合わせは同資料館=電049(251)9686=へ。

毎月第3火曜に水子貝塚資料館で開かれる「からむしの会」

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