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【埼玉】

大宮・女性殺害から1週間 デートDV対応課題 NPO「実態知り支援を」

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 さいたま市大宮区のビルで、春日部市の会社員金井貴美香さん(22)が殺害された事件は三十日、発生から一週間を迎えた。女性は昨秋から、交際相手だった鳥山裕哉容疑者(25)=殺人容疑で送検=の暴力を県警に相談していたが、事件化には至らなかった。恋人間の暴力は「デートDV(ドメスティックバイオレンス)」と呼ばれ、被害者が「大ごとにしたくない」との思いから被害届を望まないケースが多い。支援団体は「適切に対応できるよう、周囲は実態を知ってほしい」と訴える。(浅野有紀)

 「自分たちで円満に別れたい」

 県警によると、殺害された金井さんは、被害届を出すよう促す県警に対し、鳥山容疑者と二人での話し合いを望んだという。

 捜査関係者は「被害届がなくても逮捕する事例はたくさんあるが、被害者の協力がないと厳しい」と、デートDVの対応の難しさを明かす。

 デートDVの被害相談を受けるNPO法人「エンパワメントかながわ」(横浜市)によると、二〇一一年からの八年間で寄せられた計千八百件の相談のうち、被害届を出した人はわずか一人。阿部真紀理事長は「好きな人への処罰感情が持ちにくく、けがをしても公になることを恐れて病院にすら行かない人も多い」と話す。

 一七年の内閣府の調査では、交際相手から暴力を受けた経験のある女性は21・4%と、およそ五人に一人に上る。年代別では二十代が36%と最多。被害女性のうち周囲に相談したのは61・8%だったが、相談先が警察だったのは2・4%しかなかった。

 阿部さんは、家族や警察に相談できた場合でも「早く別れなきゃ駄目」と一方的に説得するのは、「すでに傷ついた被害者が責められていると感じることもある」と指摘する。デートDVの被害者は、殴られた後に急に優しくされるなどし、交際と破局を何度も繰り返す傾向があり「別れた=解決にならない場合もある」という。

 同NPOは、こうした実態を踏まえ、被害者が別れを決意した場合は、相手に直接会わずにメールなどで伝え、返信はしない選択肢もあることを伝えている。

 被害者が交際相手と会わないことを望んだ場合は、DV防止法に基づき裁判所が近づかないよう命じる保護命令を出すことができるが、対象は配偶者や同居の恋人に限られる。阿部さんは「同居していないデートDVも対象にすべきだ」と話している。

 

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