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【埼玉】

活版印刷 川越に工場復活 ワークショップ盛況

活版印刷工場を復活させた桜井社長=いずれも川越市で

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 ほしおさなえさんの人気小説「活版印刷三日月堂」の舞台になった川越市で今年、活版印刷工場が復活した。合金の活字を組み合わせて板状に並べる「組版」で作った版に、インキを塗って刷る活版印刷。現在は組版職人がおらず、活版印刷そのものはまだ再現できていないが、内部を見学できるワークショップには、多くの人が訪れる盛況ぶり。独特の味わいが見直されている。 (中里宏)

 活版印刷を復活させたのは、同市元町の桜井印刷所。社長の桜井理恵さん(38)によると、廃業した県内の印刷業者から昨年、活字や印刷機など一式を譲り受け、倉庫に使っていた建物に設置。今年一月に工場として生まれ変わらせた。

 同社は一九二四(大正十三)年創業で、桜井さんは四代目。活字や活版印刷の機械は三十年ほど前にいったん廃棄したという。

 桜井さんは「私が幼い頃はまだ活版印刷工場があり、祖母が活字を選んで版を作る『組版』をやっていた。ほしおさんと知り合うご縁があって、復活を思い立った」と話す。

 工場内には「スダレケース」と呼ばれる棚や箱にびっしりと活字が並ぶ。ただ、今は組版をできる職人がいないため、活版印刷もできない状態。樹脂製の凸版による名刺やはがき、ショップカードなどの印刷の注文を受けていて、オフセット印刷やインクジェット印刷にはない味が好評だという。

 これまで二回、工場見学と印刷体験のできる無料のワークショップを開催。活版印刷に興味を持つ人たちが会員制交流サイト(SNS)を通じて集まり、狭い工場に人があふれるほどの盛況となった。

 今月十三日に開かれたワークショップには、県立小川高校の放送部員たちが取材に訪れた。二年生の吉田実生(まう)さん(16)は「(版にかかる)重さがあって、初めて文字が印刷されるんだと思った」と印象を語った。

 見学者のために活版印刷用の機械を動かす実演をしていた元同社工場長の松崎進さん(61)は「私が入社してから三年ほどは活版印刷でした。オフセット印刷はボタンを押すだけですが、活版印刷は自分の手で作っている実感がある。やっていて楽しいですね」と話していた。

 次回のワークショップは五月十八日(正午〜午後四時)。活版印刷工場は川越市元町二丁目の大蓮寺手前。詳細は、桜井印刷所のフェイスブックで。

スダレケースに並ぶ活字。活字は印鑑と同じで文字が反転している

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SNSを通じて集まった人たちで盛況となったワークショップ

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